「ポリフェノールは体に良いと聞くけど、具体的にどのような効果があるのだろう?」
この記事をお読みになっている方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか。
ポリフェノールというのは植物の色や苦みのもとになっている成分で、その種類は5,000以上に及ぶといわれています。
このため、ポリフェノールと一言でいっても様々なポリフェノールがあり、共通する効果もあれば種類によって異なる効果も存在するのです。
詳しくは後述しますが、以下が主なポリフェノールの8種類とその効果になります。
このようにポリフェノールには様々な健康効果を持つ種類があるため、摂取するときのポイントや注意点を守れば、期待する効果を得るための補助成分として有効に働いてくれます。
この記事では、以下の内容をまとめて説明していきます。
・ポリフェノールの基本的な効果
・主なポリフェノール8種類とその効果
・主なポリフェノール8種類別・含まれる食品
・ポリフェノールの効果を得るための摂り方
・ポリフェノールの効果を補助成分として摂取するのをおすすめできる人
・ポリフェノールを含む食品を摂るときの注意点
この記事を読んでいただくと、
◎ポリフェノールには主にどのような種類があり、それぞれどのような効果があるのか
◎ポリフェノールの摂取はどのような人が向いているのか
◎ポリフェノールはどのように摂取すると良いのか
をお分かりいただけます。ポリフェノールの効果に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
1. ポリフェノールとは何か?その基本的な効果
冒頭でも説明しましたが、ポリフェノールは植物の色や苦みのもとになっている成分のことです。主に濃い色と強い渋味を持つ植物に含まれています。
ポリフェノールの種類問わず共通する基本的な効果は、活性酸素を取り除く「抗酸化作用」です。
活性酸素は、本来は人間の体においてウイルスや細菌といった有害な菌を追い払って免疫機能を高める働きをするのですが、
・生活習慣の乱れ
・紫外線
・ストレス
といった様々な要因で過剰に発生してしまうと老化や生活習慣病につながる物質でもあるため、有害となる場合があります。ポリフェノールには、このような人間の体に有害な活性酸素を除去する効果があるのです。
しかし、ポリフェノールには5,000種類以上あり、抗酸化作用は全てのポリフェノールに共通する効果であるものの、種類によって他にも様々な効果を持っています。
次の章からは5,000種類以上のポリフェノールの中から主なポリフェノール8種類を取り上げ、そのポリフェノールが持つ効果を詳しく解説していきましょう。
2. 主なポリフェノール8種類とその効果一覧
以下は主なポリフェノール8種類とその効果を一覧にまとめた表です。
上記のポリフェノールには主に
・健康効果
・ダイエット効果
・美容効果
といった、私たちが健康に生きていく上で有効となる効果を持つことが共通しています。
では、それぞれのポリフェノールの概要とその効果を上から順番に説明していきましょう。
2-1. カカオポリフェノールの効果
カカオポリフェノールとは、カカオ豆に含まれているポリフェノールです。カカオ70%以上配合の「高カカオチョコレート」に感じられる苦味のもとになっています。
近年、このカカオポリフェノールに様々な健康効果があることで注目が集まっているのですが、その主な効果として挙げられるのが血圧の低下です。
血圧を下げるには血管を広げる必要があるのですが、この血管を広げる働きをカカオポリフェノールが持っているといわれています。
血圧は、塩分の過剰摂取や肥満などが原因で血管に炎症が生じ、その炎症により血管が詰まってしまい、細くなることで上昇していきます(高血圧)。カカオポリフェノールを摂取すると血管に生じている炎症が和らぐため、詰まっていた血管が広くできると考えられています。
カカオポリフェノールの血圧低下効果は、公益社団法人・日本農芸化学会の研究でも明らかになっています。高血圧のラットに6日間カカオポリフェノールを摂取させたところ血圧が低下し、血管を収縮させる物質も減少したという結果を公表しています。
高血圧は、動脈硬化や脳卒中といった生活習慣病を引き起こす要因となる症状です。カカオポリフェノールを摂取することで、こうした大きな生活習慣病を予防することが可能になるといえます。
2-2. ルチンの効果
ルチンは、主に蕎麦に含まれるポリフェノールです。ビタミンと似た働きを持つ成分・ビタミンPの1つとしても知られています。
ルチンの効果として挙げられるのは、血行の促進です。
人間の体は血行が促進されると、
・体にある細胞に栄養や酸素を運ぶ
・体に残った老廃物を取り除く
といったように人間が元気に生きていくために必要な働きが作用されます。この働きをする血管というのが、人間の体にある血管の99%を占める毛細血管です。
しかし、この毛細血管は
・加齢
・生活習慣の乱れ(運動不足や偏食、食べ過ぎ など)
・ストレス
といった原因によって減っていき、働きも鈍くなります。毛細血管が減ったり衰えたりしてしまうと、血管の弾力性が悪くなり、血液が流れにくくなるのです。
ルチンには、そんな毛細血管の弾力性を維持する働きがあります。このため、血行促進の効果も持つのです。ルチンの毛細血管を強化して血行促進するという効果は、日本医科大学が発行する『日本医科大学学会雑誌』に掲載の研究「ルチン 毛細血管の脆弱性 を回復する新薬」でも明らかになっています。
毛細血管が硬くなって血行不良を引き起こすと、冷えやむくみだけでなく
・脳卒中などの出血性の疾患
・動脈硬化
・心不全などの心臓疾患
といった生活習慣病につながる恐れがあるため、毛細血管を強く保つことは人間が長く生きていくためには重要なことです。ルチンを摂取すれば、健康な体を維持し、生活習慣病を予防することも可能になります。
2-3. アントシアニンの効果
アントシアニンは、
・ブルーベリー
・ブドウ
・ナス
といった紫色や黒色を持つ果物や野菜に含まれているポリフェノールです。植物が紫外線といった有害な光から身体を守るために、植物自らが合成するポリフェノールでもあります。
アントシアニンは、目の疲れやぼやけといった目の不調を改善するサプリメントに含まれていることが多いです。その理由は、アントシアニンに視覚機能を改善する効果があるためです。
人間の目は「ロドプシン」と呼ばれるたんぱく質の働きによって、ものが見えるようになっています。
しかしこのロドプシンは、長時間目を酷使すると機能が衰えてしまう性質があります。ロドプシンの機能が衰えると目が疲れやすくなったり、ぼやけてしまったりして視覚機能が低下してしまいます。
アントシアニンには、そんなロドプシンの機能を促進する働きを持つといわれています。このため、摂取すると視覚機能が改善されるのです。
アントシアニンが持つ視覚機能改善の効果は、特定非営利活動法人・日本メディカルハーブ協会の研究でも明らかになっています。普段、パソコンを使った作業をする成人男女がアントシアニンを含むサプリメントを1日1回、4~12週間続けて摂取したところ、
・目のピントが合い、小さな文字が見やすくなった
・目の疲れが軽減された
という結果を得られたそうです。
アントシアニンは、パソコンやスマホを利用する機会が多い現代人の目の健康を維持するサポートをしてくれるポリフェノールといえます。
2-4. カテキンの効果
カテキンは、お茶類に含まれるポリフェノールです。お茶にある独特の苦味や渋味は、このカテキンによるものです。
カテキンには、主に次の3つの効果があるといわれています。
2-4-1. 血糖値の上昇を抑制
カテキンが持つ1つ目の効果は、血糖値の上昇を抑制することです。
血糖値は糖分の多い食べ物を摂取すると上昇しますが、そのメカニズムは以下の通りです。
1. 胃や十二指腸で消化される
2. 小腸で吸収される
3. 吸収された糖が血管に取り込まれる
4. 血糖値が上昇する
カテキンには、2の過程で糖の吸収を抑える働きがあるといわれています。このため、血糖値の上昇を抑えられるのです。
血糖値は食事を摂ると一時的に上昇するものですが、抑えることによって「2-1. カカオポリフェノールの効果」でも触れたインスリンが持つ血液中の糖を脂肪に変えるという働きを抑制することが可能になります。
カテキンの血糖値の上昇を抑える効果は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構が行った研究結果でも明らかになっています。
カテキンを摂取すれば脂肪の蓄積を抑制する他、インスリンの働きを高めるため糖尿病の予防・改善にもつなげられるのです。
2-4-2. 脂肪の消費量を増加
カテキンが持つ2つ目の効果は、脂肪の消費量を増加させることです。内臓脂肪の減少を助ける特定保健用食品にカテキンが含まれていることがあります。
脂肪はエネルギー源となるものですが、その脂肪の一部は肝臓の中で作られます。脂肪は肝臓の中にある細胞(肝細胞)の中に溜められるのですが、運動不足や暴飲暴食といった不摂生を続けていると、肝細胞に溜まった脂肪はエネルギーとして使われることがありません。肝細胞に脂肪が蓄積されると脂肪肝(しぼうかん)を引き起こしますが、内臓脂肪も蓄積されてしまいます。
この内臓脂肪の増加を解消してくれるのが、カテキンです。日本カテキン学会の研究では、カテキンを摂取すると肝臓に溜まった脂肪の代謝が促され、脂肪が燃えやすくなるという結果を公表しています。肝臓に脂肪が溜まることで生じる内臓脂肪の蓄積も解消できることになります。
脂肪が燃焼しやすい体作りのサポートをしてくれるのが、カテキンなのです。
2-4-3. 脂肪の蓄積を抑制
カテキンが持つ3つ目の効果は、脂肪の蓄積を抑制することです。
食べ物から得た脂肪はエネルギーとして消費されないと溜まっていきます。体にある脂肪を減少させるには、
1. 運動をして脂肪を燃やす
2. 脂肪の吸収を抑えて余分な脂肪を外に出す
といった方法がありますが、カテキンには2つ目の働きがあると考えられています。国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST)に掲載されている研究論文『高脂肪飼料摂取マウスにおける「べにふうき」緑茶の脂肪蓄積抑制効果』によると、高脂肪食を与えたマウスにカテキンを含む緑茶を経口投与したところ、脂肪の蓄積が抑制され、強い抗肥満効果を確認できたようです。
カテキンを摂取すれば、余分な脂肪を減らしてダイエットにつながることも期待できます。
2-5. レスベラトロールの効果
レスベラトロールは、ブドウや赤ワインに含まれるポリフェノールです。
レスベラトロールは、肌のアンチエイジングをサポートする化粧品やサプリメントに含まれていることが多いです。その理由は、肌の老化を予防する効果があるためです。
人間の肌は、
・加齢
・紫外線
・不摂生
などが原因で老化していきますが、その老化の主な原因といわれているのが紫外線です。紫外線を浴びてしまうと、肌の弾力性を生み出すコラーゲンを壊す「コラゲナーゼ」という酸素が活性化されてしまうため、シワやたるみが生じて老化につながってしまうのです。
レスベラトロールには、肌の老化につながるコラゲナーゼの活性化を阻止する働きがあるといわれています。この働きは、アメリカ国立医学図書館の公式ページに掲載されている研究論文でも明らかになっています。
生活の中で紫外線を避けることは難しいですが、レスベラトロールを摂取すれば紫外線による肌の老化を遅らせて、若々しい肌を維持するサポートをすることも可能になるのです。
2-6. タンニンの効果
タンニンはタンニン酸とも呼ばれる、赤ワインや緑茶に含まれるポリフェノールです。赤ワインや緑茶には独特の渋味がありますが、この渋味はタンニンによるものです。
タンニンは、収れん化粧水に含まれていることが多いです。その理由は、タンニンに毛穴を引き締める効果があるからです。
肌の毛穴というのは、本来であれば閉まっているのですが、
・乾燥
・紫外線
・食生活の乱れ
など、肌にとって良くない環境や生活習慣によって開いてしまうことがあります。毛穴が開いてしまうと皮脂の分泌量が増加して毛穴がさらに広がるだけでなく、黒ずんでしまって目立つことになります。
タンニンには、体の外側からも内側から毛穴の開きを改善させ、引き締める働きがあるといわれています。タンニンを摂取すれば、毛穴トラブルを解消させることも期待できます。
2-7. クルクミンの効果
クルクミンは、主にウコンやウコン茶に含まれているポリフェノールです。
クルクミンは、お酒をよく飲む方向けのサプリメントや機能性表示食品に含まれていることが多いです。なぜなら、クルクミンには肝機能を向上する効果があるからです。
肝臓は栄養を溜める働きの他、アルコールを「アセトアルデヒド」という物質に分解して解毒する働きもあります。アセトアルデヒドは有害な物質であるものの、適度な飲酒であれば解毒されて体の外に排出されるのですが、過剰に飲酒をするとこのアセトアルデヒドが多く作られてしまいます。アセトアルデヒドが多く作られると肝臓が傷つき、肝臓に脂肪が溜まりやすくなります。
クルクミンは肝臓が持つ解毒の働きを高めることが分かっています。肝臓から分泌されアセトアルデヒドの代謝を促す液体である胆汁の分泌を促す働きもあるため、摂取すれば肝機能の向上を期待できるのです。
クルクミンは、お酒を飲む機会が多い方の肝臓の健康を守るポリフェノールといえるでしょう。
2-8. イソフラボンの効果
イソフラボンは、大豆や大豆食品に含まれているポリフェノールです。
女性ホルモンの1つである「エストロゲン」と似た働きを持つため「女性ホルモン様物質」とも呼ばれていますが、このエストロゲンの分泌を促進する効果がイソフラボンにはあるといわれています。
エストロゲンは、
・丸みを帯びた体を作る
・肌の潤いを保つ
といった女性らしい体を作るホルモンです。分泌量は20代でピークとなりますが、40歳を過ぎると卵巣機能の低下によって減ってしまいます。
エストロゲンが減っていくと、
・顔のほてり
・発汗
・不安感
・憂鬱
といったように身体的・精神的な不調が生じやすくなります。このような症状を改善させるためにはエストロゲンが必要になりますが、加齢によって減っていくため自力で分泌させるのは困難です。
イソフラボンには、そんなエストロゲンの分泌を促す働きがあります。加齢によってエストロゲンが減っても、イソフラボンの摂取によって補うことが可能になるのです。
40歳を過ぎてエストロゲンが減ることで生じる不調は、更年期障害と呼ばれます。イソフラボンを摂取すれば、特に女性に当てはまりますが更年期障害で生じる症状を改善することも期待できます。イソフラボンの更年期障害の改善効果は、特定非営利活動法人・医療教育研究所の研究でも明らかになっているため、その効果は大いに期待できるでしょう。
3. 主なポリフェノール8種類別・含まれる食品一覧
ここまでご紹介してきた主なポリフェノール8種類は、主に以下の食品に含まれています。
上記以外にもポリフェノールを含む食品はありますが、取り上げたのは該当のポリフェノールを豊富に含み、スーパーや通販などで気軽に購入できるものになります。
ポリフェノールは種類によって様々な健康効果があります。その効果全てを期待して摂取するのも良いですが、ポリフェノールの効果は持続性が短くこまめな摂取が必要となるため、特に得たい効果の補助食品として摂り続けられそうなポリフェノールに絞って摂るのがおすすめです。
次の章で、ポリフェノールの効果を得るための摂り方を説明していきましょう。
4. ポリフェノールの効果を得るための摂り方
ポリフェノールの効果を得るための取り方には、
1. ポリフェノールを含む食品に適した摂取方法で摂る
2. ポリフェノールの種類によっては毎日摂取する
3. サプリメントを活用する
の3つのポイントがあります。1つずつ説明していきましょう。
4-1. ポリフェノールを含む食品に適した摂取方法で摂る
ポリフェノールを含む食品に適した摂取方法で撮りましょう。
ポリフェノール全体の1日の摂取目安量や摂取方法に決まりはないのですが、種類によってはその効果を健康的に得るために守ると良い摂取量や摂取方法というのがあります。
以下が、主なポリフェノール8種類別に摂取量や摂取方法を示した表です。
ポリフェノールの種類 | 含まれる食品 | 推奨されている摂取量や摂取方法 | |
① | カカオポリフェノール | 高カカオチョコレート | 1日200kcal以内(1日約25g) |
② | ルチン | 蕎麦 | 1日1人前・乾麺:60~80g・茹で麺:180~250g |
③ | アントシアニン | ブルーベリー | 1日20~30粒(1日約40g以上) |
④ | カテキン | 緑茶 | ・運動するとき 運動1時間前にコップ1杯(約200ml)・運動しないとき 1日3回の食事中にコップ1杯(約200ml)※1日1リットルに抑える |
⑤ | レスベラトロール | 赤ワイン | 1日グラス2杯程度(1杯約125ml) |
⑥ | タンニン | ||
⑦ | クルクミン | ウコンエキス入りの飲料 | 飲酒30分前に1本 |
⑧ | イソフラボン | 納豆 | 1日1パック(約60g) |
カカオポリフェノールを含むのは高カカオチョコレートです。砂糖やミルク入りのチョコレートと比べると体に良いですが、糖質や脂質が全く含まれていないわけではないため、過剰摂取とならないよう1日200kcal以内に抑えるのが良いです。
ルチンを含むのは蕎麦ですが、1日1人前の蕎麦を食べるとルチンの摂取目安量25~50mgを満たすことが可能です。
アントシアニンを含むブルーベリーは、1日20~30粒取るのが良いといわれています。
カテキンを含む緑茶は、運動するときはその1時間前にコップ1杯飲むのがおすすめです。運動前に飲むことで、運動中にカテキンの脂肪燃焼効果が発揮されます。運動しないときは、脂肪の吸収を抑える効果を発揮させるために1日3回食事と一緒に撮るのが良いです。
クルクミンを含むウコンエキス入りの飲料は、飲酒前に1本飲むのが良いです。
レスベラトロールタンニンを含む赤ワインにはアルコールが含まれているため、1日2杯程度の適量に抑えましょう。
イソフラボンを含む納豆は、上記の量を1日に摂取すればイソフラボンの1日の摂取目安量40~50mgを満たすことができます。
もしそれぞれの食品で摂取目安量の記載があれば、その決まりに従って摂取するようにしましょう。
4-2. ポリフェノールの種類によっては毎日摂取する
ポリフェノールの種類によっては、その効果を得るために毎日摂ることが必要になります。以下7つのポリフェノールが該当します。
1. カカオポリフェノール
2. ルチン
3. アントシアニン
4. カテキン
5. レスベラトロール
6. タンニン
7. イソフラボン
ポリフェノールは摂取してから約1~2時間後にそれぞれが持つ効果が作用しますが、その効果の持続性は短いです。摂取してから約4時間後には、その効果はなくなるといわれています。このため、ポリフェノールが持つそれぞれの効果を発揮させるためには毎日摂るのが良いのです。
クルクミンについては、毎日の摂取は推奨されていません。飲酒前に摂取すれば、効果が発揮されます。
ここで「期待したい効果を得るために、そのポリフェノールを含む食品によっては毎日摂るのは難しいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
確かに毎日忘れずに摂取することが不可能ではないものの、ライフスタイルによっては難しい食品もありますよね。
しかし、この問題は工夫をすれば解消できます。次の項目で説明しましょう。
4-3. サプリメントを活用する
期待したい効果を得るために、そのポリフェノールを含む食品を毎日摂取することが難しい場合は、サプリメントを活用すると良いです。
「4-2. ポリフェノールの種類によっては毎日摂取する」で取り上げた7つのポリフェノールのは全てサプリメントがあります。
食品ではポリフェノール以外の栄養素も含まれるため、健康な体作りのためには食品から摂取するのが好ましいですが、サプリメントもうまく取り入れるとポリフェノールの継続摂取が実現し、効果も得やすくなります。
ドラッグストアや通販で購入可能なため、ご興味があれば確認してみると良いでしょう。
5. ポリフェノールの効果を補助成分として摂取するのをおすすめできる人
ポリフェノールは得たい効果の補助成分として摂取したいと思う人におすすめできます。ポリフェノールの種類別に見ると、次のような人が該当します。
5-1. 生活習慣病を予防したい
生活習慣病を予防したい人におすすめできるポリフェノールの種類は、以下の通りです。
生活習慣病というのは、
・運動
・食事
・喫煙
・飲酒
・ストレス
といった生活習慣が原因となる疾患のことをいいます。このような生活習慣病を予防したい人にカカオポリフェノールとルチンの摂取をおすすめできるのは、これら2つのポリフェノールに生活習慣から生じる症状を改善する効果があるからです。
ポリフェノールの種類 | 改善を期待できる症状 | 症状を引き起こす生活習慣 |
カカオポリフェノール | 高血圧 | ・塩分の過剰摂取・運動不足・食べ過ぎ・過剰飲酒・ストレス など |
ルチン | 血行不良 | ・運動不足・偏食・食べ過ぎ ・ストレス など |
たとえば、カカオポリフェノールを摂取すれば高血圧を改善する効果があるため、高血圧が一因の生活習慣病である動脈硬化の予防を期待できます。
ルチンの場合は血行不良の改善効果があるため、カカオポリフェノールと同様に動脈硬化、そして脳疾患や心疾患といった生活習慣病の予防につながります。
もちろん、生活習慣病の予防には運動や食生活の改善といった他の生活習慣を見直すことが重要です。
しかし、こうした生活習慣の見直し対策と併せてカカオポリフェノールやルチンの摂取をすれば、生活習慣病を効果的に予防することが可能になります。
カカオポリフェノールとルチンは、それぞれ以下のような生活習慣があり、生活習慣の見直し対策を始めている人に摂取をおすすめできますのでご参考ください。
日頃の生活習慣 | おすすめのポリフェノールの種類 |
・塩分の多い食事を摂ることが多い・肥満体質になっている | カカオポリフェノール |
・運動をする習慣がない・冷えやむくみが生じやすく、血行が 悪いと感じている | ルチン |
5-2. パソコンやスマホを見る機会が多く目が疲れやすい
パソコンやスマホを見る機会が多く、目が疲れやすい人におすめのポリフェノールの種類は、以下の通りです。
パソコンやスマホの長時間使用によって目が疲れやすい人にアントシアニンの摂取をおすすめできるのは、「2-3. アントシアニンの効果」でも説明した通りアントシアニンには、
・目の疲れを改善するサプリメントに含まれている
・普段パソコン作業をする人に対する効果の研究で、目の疲れの軽減が見られた
といった目の疲れを改善する効果を持つことの実証があるためです。
パソコンやスマホの長時間使用によって目の疲れが生じるのであれば、使用時間を減らすことが重要ではありますが、仕事や連絡手段などでどうしても使う機会が多くなってしまうこともあるでしょう。
・必要などきだけ使うようにする
・就寝1時間前から使わない
といったように目の疲れを改善させるために最低限できる対策を行い、その上でアントシアニンを摂取すれば効果的に目の疲れを解消することが可能になります。
特にデスクワークの人やスマホで動画視聴などエンターテイメントを楽しむことが多い人は、目の疲れを改善する対策を行う上でアントシアニンを摂取すると良いでしょう。
5-3. 効果的に脂肪を落としてダイエットしたい
効果的に脂肪を落としてダイエットしたい人におすすめのポリフェノールの種類は、以下の通りです。
効果的に脂肪を落とすのにカテキンの摂取をおすすめできるのは、
・脂質の代謝を促進して脂肪の消費量を増やす
・脂肪の吸収を抑えて余分な脂肪を排出する
といったように脂肪にアプローチするからです。
脂肪を落とすには
・ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行っている
・脂肪燃焼を助けるたんぱく質を積極的に摂る食事を意識している
といった運動と食事の見直しが重要ではありますが、上記のポリフェノールを摂取すれば脂肪を落とすための対策の一助となるため、効果的に脂肪を落とすことが可能になります。
「4-2. ポリフェノールの種類に合った摂取方法で摂る」で説明した通り、
・運動をするとき…運動の1時間前に飲む
・運動をしないとき…1日3回の食事中に飲む
の2つのタイミングで摂取するとカテキンの効果が発揮されます。
5-4. 肌を若々しく保ちたい
肌を若々しく保ちたい人におすすめできるポリフェノールの種類は、以下の通りです。
肌を若々しく維持したい人にレスベラトロールの摂取をおすすめできるのは、
・肌のアンチエイジングをサポートする化粧品やサプリメントに含まれている
・肌の老化につながる酸素の活性化を止める働きがあることの研究結果がある
といったように、肌の老化を防ぐ効果の実証があるためです。
・抗酸化作用のある食品を摂る(例:ビタミンCが豊富や食材 など)
・正しいスキンケアをする
・生活習慣の乱れを改善する
といったように日頃からアンチエイジング対策を行っているのであれば、肌の老化を遅らせるレスベラトロールの摂取も取り入れれば効果的なアンチエイジング対策を行うことも可能になります。
肌の老化は避けて通れないことではありますが、少しでも老化を遅らせて元気な肌作りをしたい人はレスベラトロールを摂取すると良いでしょう。
5-5. 毛穴の開きを改善したい
毛穴の開きを改善したい人におすすめできるポリフェノールの種類は、次の通りです。
タンニンは収れん化粧水に含まれているポリフェノールです。摂取することで毛穴の開きを抑えて、肌を引き締める効果を期待できます。
「毛穴の開きを改善したいのであれば、スキンケアで対策できるのでは?」と思われるかもしれません。
確かにそうなのですが、毛穴の開きというのは、乾燥や紫外線といった外の環境や加齢といったように避けて通れないことが原因の場合もありますが、脂質や糖質の多い食事を摂っていることで生じる皮脂の過剰分泌によって起こることもあります。
つまり、毛穴の開きは食事の見直しを行うことで、体の内側から改善することも必要です。こうした体の内側からの毛穴の開き改善の一助となるのが、タンニンといえます。
・ファストフードやスナックなどの脂っこい食べ物を避ける
・ケーキやミルクチョコレートなどの糖質の多い食べ物を控える
といったように、毛穴開きの一因となる食生活の乱れを解消し、
・紫外線対策をする
・肌を乾燥させない
といったスキンケアも併せて行った上でタンニンを摂取すれば、効果的に毛穴の開きを解消できるでしょう。
5-6. お酒が抜けにくくなってきた
お酒が抜けにくくなってきた人におすすめできるポリフェノールの種類は、以下の通りです。
クルクミンは、お酒をよく飲む方向けのサプリメントや機能性表示食品に含まれており、
・アルコールを摂取すると作られる有害な物質「アセトアルデヒド」を解毒する
・アセトアルデヒドの代謝を促す胆汁の分泌を促す
といったように肝臓の働きを高める効果の実証があります。
アルコールを含むお酒を飲む前にクルクミンを摂取をすれば、このような肝臓の働きが有効になるため、お酒が抜けやすくなるといえます。
過度な飲酒を避けるのが重要ですが、適度にお酒を飲んでも後日残るような場合はクルクミンを摂取すると良いでしょう。
5-7. 更年期障害の症状を改善したい
更年期障害の症状を改善したい人、特に女性におすすめできるポリフェノールの種類は、以下の通りです。
更年期障害が起こるのは女性ホルモンの1つエストロゲンの低下が一因であること、そしてこのエストロゲンと似た働きを持つのがイソフラボンであることを「2-10. イソフラボンの効果」で説明しました。
エストロゲンが減って更年期障害が生じてしまうと顔のほてりや不安感といった身体的・精神的な不調が出やすくなりますが、イソフラボンにはこうした症状を引き起こすエストロゲンの分泌を促す働きを持ちます。
エストロゲンは加齢に伴って減っていきますし、イソフラボンを摂取しても若い頃のように分泌されるわけではありませんが、エストロゲンが減ることによって生じる更年期障害の症状は緩和できるといえます。
更年期障害の症状を改善させるには、
・婦人科による治療
・サプリメントや市販の医薬品によるケア
・食生活の改善
・有酸素運動の実施
といった対策がありますが、食生活の改善の中でイソフラボンを摂取することを含めれば、効果的に更年期障害の症状を改善できるでしょう。
5-8. 糖尿病を改善したい
糖尿病を改善したい人におすすめできるポリフェノールの種類は、以下の通りです。
糖尿病というのは、人間が生きる上でエネルギーとなる糖を細胞まで送るインスリンがうまく機能しなくなり、血液中に糖があふれる(高血糖になる)ことで生じます。
こうした糖尿病を改善させる対策の1つとして、食後の血糖値の上層を抑えることが挙げられます。糖尿病を患っている=高血糖の状態であるため、この状態で食後に血糖値が上がってしまうと、さらにインスリンの機能の低下を招くからです。
このような糖尿病の改善対策の一助となるのが、カテキンです。「2-6-1. 血糖値の上昇を抑制」でも説明した通り、カテキンは食べ物で得た糖が小腸で吸収されるのを抑えてくれるため、血糖値の上昇も防いでくれます。
食後の血糖値を抑えるには、
・1日3食規則正しく摂る
・栄養バランスの取れた食事を心がける
・腹八分目に抑える
・就寝前には食べない
といった食事療法もありますが、こうした対策にカテキンを取り入れるという対策も加えれば、糖尿病を効果的に改善できるといえるのです。
普段行っている運動療法や食事療法と併せて、少しでも糖尿病の改善につながる対策をしたい人は、カテキンを摂取すると良いでしょう。
6. ポリフェノールを含む食品を摂るときの注意点
最後に、ポリフェノールを含む食品を摂るときの注意点2つを説明します。
1. 過剰に摂取しない
2. 食品の摂取だけに頼らない
6-1. 過剰に摂取しない
ポリフェノールを含む食品を過剰に摂るのは控えましょう。
ポリフェノールを含む食品には、ポリフェノール以外の成分も入っていることがあります。「4-1. ポリフェノールを含む食品に適した摂取方法で摂る」で説明した摂取目安量を守れば過剰摂取になることはありませんが、ポリフェノールの効果を得たいからといってその摂取目安量を超えてしまうと、体に悪影響を及ぼす恐れがあることを忘れてはなりません。
特に以下4つの食品は注意が必要です。
ポリフェノールの種類 | 主な食品 | 過剰摂取すると起こり得るリスク |
カカオポリフェノール | 高カカオチョコレート | 糖質や脂質の過剰摂取・血糖値の上昇・脂肪の蓄積 など |
カテキン | 緑茶 | カフェインの過剰摂取・吐き気・胃痛・頭痛 など |
レスベラトロール | 赤ワイン | アルコールの過剰摂取・吐き気・頭痛・肝臓機能の低下 など |
クルクミン | ウコンエキスを含む飲料 | 肝機能の障害 |
カカオポリフェノールを含む高カカオチョコレートは、甘みのあるチョコレートやココアと比べると糖質や脂質は少ないですが、過剰摂取をすると血糖値の上昇や脂肪の蓄積につながります。
カテキンを含む緑茶には、カフェインが含まれています。コーヒーや紅茶などカフェインを含む緑茶以外の飲み物を摂る習慣がある場合は、緑茶を過度に飲むとカフェインの過剰摂取を引き起こす恐れがあります。コーヒー100mlのカフェイン含有量60mgと比べると緑茶(煎茶の場合)は20mgと3分の1程度であるため適量飲むのであれば問題ありませんが、飲み過ぎには注意が必要です。
レスベラトロールを含む赤ワインはお酒のため、摂り過ぎるとアルコールの過剰摂取となり、上記のような様々な不調が生じることになります。
クルクミンについては、摂り過ぎは肝機能の障害を引き起こします。活性酸素を生じさせて肝臓を傷つけるといった障害が起こるといわれています。
どのポリフェノールも、含まれている食品の摂取目安量を守るようにしましょう。
6-2. 食品の摂取だけに頼らない
期待する効果を持つポリフェノールを含む食品の摂取だけに頼らないようにしましょう。
ご紹介したポリフェノールにはそれぞれに特有の健康効果があるのは確かですが、摂取だけで必ずその効果を得られるわけではありません。以下のように、食生活の摂取以外の対策も行うことが非常に重要です。
ポリフェノールの種類 | 食品の摂取以外で行うべきことの例 |
カカオポリフェノール | ・塩分の過剰摂取を控える・運動と食生活の見直しをする |
ルチン | 運動をする |
アントシアニン | スマホを長時間見るのを控える |
カテキン | 運動と食生活の見直しをする |
レスベラトロール | ・正しいスキンケアをする・生活習慣の乱れを改善する・抗酸化作用のある食べ物を摂る |
タンニン | 正しいスキンケアをする |
クルクミン | お酒を飲み過ぎない |
イソフラボン | ・医師の適切な診断を受ける・食生活を改善する・運動をする |
ポリフェノールは、あくまで健康効果を発揮させる補助成分として捉えて摂取していきましょう。
まとめ
ポリフェノールは1つではなく、5,000種類以上あります。
抗酸化作用があるというのは全てのポリフェノールに共通する効果ですが、種類によって他にも様々な効果があります。主なポリフェノールは以下の9種で、それぞれの効果は以下の通りです。
上記のポリフェノールを含む主な食品は、以下の通りです。
これらのポリフェノールを含む食品は、
1. ポリフェノールを含む食品に適した摂取方法で摂る
2. ポリフェノールの種類によっては毎日摂取する
3. サプリメントを活用する
の3つを意識して摂ると、それぞれのポリフェノールが持つ効果を得やすくなります。
ここで取り上げた主なポリフェノールの摂取は、次のような方々におすすめできます。
ポリフェノールを含む食品を摂るときの注意点は、以下の2つです。
1. 過剰に摂取しない
2. 食品の摂取だけに頼らない
ポリフェノールを含む食品をうまく活用して、健康的な体を手に入れましょう!