深蒸し茶とは

深蒸し茶とは|煎茶との特徴の違いと25の効能を詳しく解説

深蒸し茶とは、普通の煎茶よりも蒸し時間を長くして作った緑茶のことです。

普通の煎茶は、お茶の葉を30秒から40秒蒸して作ります。

深蒸し茶はこの蒸し時間が1分から2分、倍以上の時間をかけて蒸してつくられるのです。

蒸し時間が長いことでお茶の葉の甘みが増し、渋みが和らぎ、煎茶よりもコクと甘みが強く、飲みやすい味のお茶となっています。

深蒸し茶はただおいしいだけではありません。

カテキンやテアニンなど多くの健康に良い成分がたっぷり含まれているだけでなく、お茶の葉に含まれる食物繊維などの栄養素もとれる、とてもうれしいお茶なのです。

とはいえ、深蒸し茶についてきちんと知らなくては、深蒸し茶が自分に合っているのか、おいしく飲めそうなのかはわかりません。

そこでこの記事では、

・深蒸し茶とはどんなお茶なのか

・深蒸し茶と煎茶との違い

・深蒸し茶で摂れる栄養素について

・深蒸し茶をおすすめしたい人

・深蒸し茶をおいしく淹れるためのポイント

について紹介します。

深蒸し茶の特徴やおいしい入れ方を知って、自宅でのリラックスタイムに深蒸し茶を取り入れる参考にしてください。

1.深蒸し茶とは

深蒸し茶とはどんなお茶なのでしょうか?

まずは深蒸し茶がどんなお茶なのか、製法や味の特徴などをみていきましょう。

1-1.深蒸し茶は「蒸し時間が長い」

深蒸し茶とは、緑茶の種類のひとつです。

深蒸し茶は、「長く蒸したお茶」です。

緑茶を作るには、お茶の葉を「蒸す」という工程があります。

お茶の葉を蒸すことで、生の葉が持つ酸化酵素の働きを失わせ、発酵しないようにするための作業です。

葉の酸化酵素を止めることで、生の葉が持つ独特の青臭さを和らげ、葉を柔らかくして揉みやすくするのです。

深蒸し茶は、この「蒸熱」の時間を1から2分かけてつくります。

通常の煎茶は30秒から40秒ほどですから、倍以上蒸すのです。

この蒸し時間の違いが、お茶の味や香りに変化を生み出します。

1-2.深蒸し茶は「茶葉が細かい」

深蒸し茶は、浅蒸し、中蒸し(普通蒸し)のお茶に比べると茶葉が細かく、形が崩れているのが特徴です。

これは蒸し時間を長くすることで、茶葉の細胞膜が壊れやすくなるからです。

細胞膜が壊れやすくなることで、緑茶に含まれるさまざまな成分が出やすくなります。

また、茶葉が細かくなることで、粉になったお茶の葉を一緒に飲むことができるため、茶葉そのものの栄養を摂れるのも深蒸し茶の特徴です。

深蒸し茶の栄養については「3.深蒸し茶はお茶の栄養素を効率よく摂れる!」で詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1-3.深蒸し茶は「濃い緑色」

深蒸し茶は、淹れたお茶が「濃い緑色」になります。

深蒸し茶は、先ほど紹介したように、蒸し時間を長くすることでお茶の葉の細胞膜が壊れやすくなり、お茶の成分が出やすくなります。

そのため、濃い緑色のお茶となるのです。

1-4.深蒸し茶は「うま味と甘みが強い」

深蒸し茶の味は、「うま味と甘みが強い」のが特徴です。

深蒸し茶は蒸し時間を長くとることで、茶葉の成分が抽出しやすくなります。

そのため、緑茶に含まれるうま味成分である「テアニン」が出やすくなるため、うま味が強いお茶になるのです。

また、お茶の苦味は「タンニン」という成分が含まれているからですが、蒸し時間を長くすることで、組織が分解され、タンニンの含有量が減り、苦味が和らぎます。

そのため、コクと甘みの強いお茶になるのです。

1-5.深蒸し茶の歴史と産地

深蒸し茶が生まれたのは、荒畑園のある静岡県の牧之原台地です。

古くからお茶の名産地として知られる京都の宇治市などに比べると、牧之原台地は平坦で、日照量が多いのが特徴です。

日照量が多いと、茶葉はよく成長しますが、その分葉が固くなり、お茶の苦味の成分であるカテキンの料も多くなってしまいます。

そんな牧之原台地で育つお茶をおいしく飲むために生み出されたのが、深蒸し茶の製法です。

長く蒸すことで、苦味や渋みを和らげて、おいしいお茶に仕上げることができます。

今では他の産地の茶葉も深蒸し茶として仕上げられているほど、一般的な製法になったのです。

2.蒸し時間による煎茶の違い一覧

煎茶は蒸し時間によって香りや味が変わります。

一般的な煎茶(中蒸し茶)と深蒸し茶の味や色の違いは以下の通りです。

煎茶(中蒸し茶)は蒸し時間が短い分、葉の形は細長く整っており、深蒸し茶に比べて茶葉が大きめです。

お茶の色は淡い緑色で、味はうまみと苦味のバランスがとれているのが特徴です。

煎茶は茶葉が大きくしっかりしていますから、茶葉を食べる料理に使うのに向いています。

煎茶の中でもさらに蒸し時間が短いものは「浅蒸し茶」といわれ、より香りが強く、すっきりとした味わいです。

深蒸し茶は、蒸し時間を長くとることでお茶の葉の細胞が壊れやすくなり、葉の形も崩れていきます。

そのため、お茶の成分を短い時間でしっかり抽出でき、お茶の色は濃い緑色です。

味はコクと甘みが強く、まろやかです。

お茶の葉が崩れている分、淹れたお茶に細かくなった茶葉が含まれ、水には溶けない栄養素も一緒にとることができるのが深蒸し茶のメリットです。

香りは蒸し時間が短いほど強く、深蒸し茶は香りが弱めです。

それぞれの違いを把握して、気分によって使い分けしてみるのもおすすめです。

3.深蒸し茶はお茶の水溶成分がたっぷり摂れる

 

深蒸し茶は蒸し時間を長くとります。

それにより、お茶の葉の細胞膜が壊れやすくなっており、含まれている成分が短時間でもしっかり抽出できるようになっています。

お茶に含まれている栄養成分で、水に溶けだす水溶性の成分には

・カテキン

・テアニン

・ビタミンC

があります。

それぞれの栄養素について詳しく紹介します。

3-1.【お茶から抽出される水溶成分1】カテキン

カテキンは、お茶の葉が持つ特有のポリフェノールで、緑茶が含む健康成分として注目されている成分です。

お茶の持つ「苦味」はカテキンに寄るものです。

カテキンは酸化しやすい成分ですが、緑茶は製造途中でお茶の葉の酸化酵素の働きが抑えられるため、ほとんど酸化せずに残ります。

紅茶やウーロン茶は、発酵させる中でカテキンが酸化し、別のものに変わってしまうため、緑茶が最もカテキンを多く含んでいるのです。

カテキンに期待できる効果は以下の通りです。

それぞれ詳しくみていきましょう。

3-1-1.血中コレステロールの低下

カテキンは、コレステロールの吸収を抑えて血中コレステロール値を低下させることがわかっています。

また、食事と共にカテキンを摂ることで、脂肪の吸収を抑えます。

体脂肪を減らすトクホのお茶は、この働きによるものです。

3-1-2.体脂肪低下作用

カテキンは、食べ物に含まれる脂肪が身体に吸収され、体脂肪になるのを抑える効果があります。

脂肪分の高い食べ物を食べた時、緑茶に含まれるカテキンを摂ることで、体脂肪を低下させることができるのです。

3-1-3.抗酸化作用

カテキンは高い抗酸化作用を持つことでも知られています。

活性酸素は、ストレス、喫煙、紫外線、過剰な運動などで増え、増えすぎると細胞を傷つけてしまうものです。

カテキンは活性酸素を抑える抗酸化作用が、同じく抗酸化作用があるとして知られるビタミンEの50倍あるとされており、活性酸素から身体を守ってくれます。

3-1-4.抗菌・抗ウイルス作用

抗菌・抗ウイルス作用もカテキンの持つ力のひとつです。

O-157、赤痢菌、コレラ菌、ピロリ菌などの増殖を抑えることが認められています。

これは、カテキンがたんぱく質に吸着しやすい性質を持っており、細菌の細胞膜を破壊して菌の増殖を抑えることができるからだとされています。

抗ウイルス作用があることもわかっており、ウイルスが人間の身体にとりつくためのスパイク(トゲのようなもの)の働きを抑えて、感染しにくくするのです。

さらに京都府立医科大学によれば、カテキンが口の中の唾液に含まれる新型コロナウイルスの感染力を失わせる効果があるという研究結果が出ています。

参考:京都府立医科大学 【論文掲載】茶カテキン類による新型コロナウイルス不活化効果を試験管内の実験で確認(京都府立医科大学と伊藤園の共同研究)

3-1-5.虫歯予防作用

虫歯の原因となるミュータンス菌の増殖も抑え、虫歯予防効果も期待できます。

食後に深蒸し茶を飲む、深蒸し茶でうがいするなどするとより効果が高まるのでおすすめです。

3-1-6 .ガン予防

ガン予防に関しては、カテキンの持つ抗酸化作用などが関係しているのではないかと予想されていますが、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。

ただし、埼玉県立がんセンターでも、緑茶を多く飲むことはガン予防に役立つことが認められており、現在も研究が進められています。

参考:埼玉県立がんセンター 緑茶カテキンによるがん予防、および転移抑制機構の物理学的・分子生物学的解析

3-1-2.【お茶から抽出される水溶成分2】テアニン

テアニンは、お茶に含まれるアミノ酸です。

テアニンはお茶の「うま味」を生み出します。

テアニンが多く含まれるお茶は、うま味が強くなります。

テアニンの効果は以下の通りです。

3-2-1.リラックス効果

お茶を飲むと「ほっ」とするイメージがあると思いますが、お茶のリラックス効果に役立っているのがテアニンです。

お茶にはカフェインが含まれているので脳が興奮するはずなのに、カフェイン量に対して脳の興奮はおだやかです。

これはテアニンのリラックス効果があるからなのです。

テアニンを摂ると、脳のα波が増えます。

α波は、脳がリラックスしているときに出る脳波で、テアニンを摂ることでα波が増えてリラックスすることができるのです。

3-2-2.集中力を高める

テアニンは集中力を高めるのにも役立ちます。

人は単純作業を続けた時、ストレスがたまり集中力が下がります。

そんな時、テアニンでストレスを緩和することで、集中力を高めることができるのです。

3-2-3.ストレスを和らげる

テアニンは、ストレスを和らげます。

人はストレスを感じた時、落ち込むときと興奮する時があります。

落ち込むときはGABA、興奮する時はグルタミン酸が脳に多く出ます。

テアニンはGABAとグルタミン酸のバランスを整える効果があることがわかっています。

脳内のバランスを整えることで、ストレスが和らぐのです。

3-2-4.寝つきをよくする

テアニンは、副交感神経を優位にし、脳の興奮を静めることで入眠効果があることでも知られています。

眠りに入りやすくなるだけでなく、眠りの質を良くすると言われています。

3-2-5.冷え性の改善

テアニンをとると、脳のα波が増えます。

α波が増えることにより、筋肉がゆるんで血管が拡張し、血流が良くなります。

その働きにより、冷え性の改善にもつながるのもうれしい効果です。

3-2-6.PMS・更年期障害の改善

テアニンのリラクゼーション効果は、PMS(月経前症候群)や更年期障害の不調を和らげるのにも役立ちます。

PMSによるイライラや憂鬱感がテアニンを取ることで軽減したというデータもでました。

 

3-3.【お茶から抽出される水溶成分3】ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用が高いことでも知られるビタミンです。

ビタミンCは熱に弱いのですが、緑茶に含まれるビタミンCはカテキンの作用により、熱で分解されにくいという特徴があります。

またビタミンCは水に溶けやすいビタミンのため、お茶にしっかりと溶けだし、効率的に摂ることが可能です。

そんなビタミンCの効果は以下の通りです。

3-3-1.コラーゲンの生成を促す

ビタミンCは、コラーゲンの生成に必要な成分です。

コラーゲンはお肌にハリをもたらすため、アンチエイジングには欠かせません。

また血管もコラーゲンでできているため、ビタミンCをしっかり摂ってコラーゲンを作ることは健康維持の面でも重要なのです。

3-3-2.日焼けやシミを防ぐ

ビタミンCはシミや日焼けの原因となるメラニンの生成を抑える働きもあります。

さらにできてしまったシミを薄くする効果もあります。

そのため、日焼けやシミを防いでお肌の白さを保つのにも役立つのです。

ビタミンCは壊れやすいため、化粧品で肌に補給するだけでなく、お茶を飲んで体内から補給することが効果的です。

また余分なビタミンCは体外に排出されるため、摂りすぎを気にする必要はなく安心です。

3-3-3.ストレスへの抵抗力アップ

ストレスに抵抗するにもビタミンCは必要です。

ビタミンCが足りないと、ストレスへの抵抗力が下がってしまいますから、しっかりとビタミンCを摂っておくことが重要になります。

3-3-4.抗酸化作用

活性酸素を除去する抗酸化作用もビタミンCの持つ効果です。

活性酸素は多すぎると身体の細胞を傷つけてしまいますから、抗酸化作用の高いビタミンCを含む緑茶を飲むことで、身体の細胞のダメージを防ぐことができるのです。

4.お茶の葉も一緒に飲むことで不水溶成分も摂れる

深蒸し茶は蒸し時間を長くすることで、お茶の葉が崩れて細かくなります。

そのため、お茶を淹れた時、粉状になったお茶の葉も一緒に飲むことになります。

お茶の葉には水に溶けない栄養素も含まれています。

これらの不水溶成分は、お茶を飲むだけでは取り入れることができません。

しかし深蒸し茶は、粉状になったお茶の葉も一緒に飲みますから、不水溶成分も自然に摂ることができるのです。

水溶成分だけでなく、不水溶成分も一緒に手軽に取り入れられるのは、深蒸し茶ならではのメリットです。

深蒸し茶で摂れる不水溶成分は

・食物繊維

・ベータカロテン

・ビタミンE

などがあります。

それぞれについて詳しく紹介します。

4-1.【健康によい不水溶成分1】食物繊維

食物繊維には水溶性のものと不水溶性のものがありますが、お茶の葉に含まれている食物繊維はほとんどが不水溶性です。

そのため、お茶の葉を一緒に摂ることでお茶の葉の食物繊維を取り入れることができます。

食物繊維の効果は以下のようなものが挙げられます。

4-1-1.便通の改善

不水溶性の食物繊維は消化できず、水分を吸収して膨らむという特性があります。

そのため便のかさを増やし、腸の蠕動運動を促すことで便通の改善に役立ちます。

4-1-2.大腸がん予防

食物繊維を摂ることで大腸がん予防に役立つことも知られています。

大腸がん予防には、一日10g以上は食物繊維をとることが推奨されているのです。

深蒸し茶を飲むことで、手軽に食物繊維を補うことが可能です。

4-2.【健康によい不水溶成分】ベータカロテン

ベータカロテンは、植物に含まれる色素で、身体の中でビタミンAと同じ働きをします

緑茶に含まれるベータカロテンの量は人参の10倍とされています。

ビタミンAは人間に必要不可欠なビタミンですが、過剰に摂ってしまうと、頭痛やめまいなどの症状を引き起こしてしまいます。

しかしベータカロテンは、体内に入った後、必要な分だけがビタミンAに変わるため、過剰摂取を気にしなくてもよいのがメリットです。

ベータカロテンは油溶性のため、お茶には溶けだしません。

粉状になった深蒸し茶の茶葉を摂ることで、ベータカロテンを取り入れることができます。

ベータカロテンの効果には以下のようなものがあります。

4-2-1.夜盲症の予防・改善

ベータカロテンが変化するビタミンAは、視力を正常に保つために必要なビタミンです。

特に、夜暗いところで視力が低下し、ものが見えにくくなる夜盲症の予防や改善にはビタミンAが効果的です。

4-2-2.皮膚や粘膜を健康に保つ

ビタミンAは肌や粘膜を健康に保つのにも役立ちます。

ビタミンAが不足すると、皮膚や粘膜がうまく作られず、健康な肌は維持できなくなってしまうのです。

4-2-3免疫力をアップする

粘膜を健康に保つことで、鼻やのどからウイルスが侵入するのを防ぎ、免疫力を高めることにもつながります。

4-2-4.成長を促進する

子どもの成長にもビタミンAは大きな役割を持っています。

特に子どもがビタミンA不足に陥ると、成長が止まったり、知能障害が起こることがあるのです。

ビタミンAは摂りすぎてもいけませんが、ベータカロテンなら必要な量だけがビタミンAに変わるため、安心して摂ることができます。

4-3.健康によい不水溶成分 ビタミンE

緑茶はビタミンEの含有量が多く、文部科学省の食品データベースによれば、ビタミンEが多いことで知られるナッツ類よりも多く含まれています。

参考:文部科学省 食品成分ランキング

しかし、水には溶け出さない成分のため、ビタミンEは茶葉にほとんど残ったままです。

深蒸し茶で、粉状になった茶葉を一緒に飲むことで茶葉に含まれるビタミンEを摂ることができるのです。

ビタミンEの効果は以下の通りです。

4-3-1.抗酸化作用

ビタミンEも活性酸素を除去する、抗酸化作用の高い成分です。

活性酸素は細胞を傷つけ、老化や病気の原因にもなります。

ビタミンEで活性酸素を除去することで、健康維持やアンチエイジング効果が期待できるのです。

4-3-2.血行促進

また、血流を促進する効果が認められており、肩こりや冷え性の改善にも役立ちます。

血流を促進することで、肌を健康に保つことにもつながるのです。

4-3-3.ホルモンバランスを整える

ビタミンEは女性ホルモンの分泌を促し、ホルモンバランスを整える効果もあります。

女性ホルモンのバランスが整うことで、PMS(月経前困難症)や生理痛、生理不順の改善にも役立つのです。

5.深蒸し茶をおすすめしたい人

深蒸し茶をおすすめしたい人は、以下のような方です。

・お茶に含まれる栄養素を手軽に取り入れたい人

・コクと甘みのあるお茶が好みな人

・簡単においしいお茶を飲みたい人

・カフェインをあまり摂りたくない人

それぞれ詳しくみていきましょう。

5-1.お茶に含まれる栄養素を手軽に取り入れたい人

お茶に含まれている様々な栄養素を、手軽に毎日取り入れたい人には深蒸し茶がおすすめです。

先ほど紹介したように、お茶には水溶性と不水溶性の2種類の栄養素が含まれています。

深蒸し茶は、時間をかけて茶葉を蒸すことで、水溶性の栄養素がお茶に溶けだしやすくなっています。

さっとお茶を入れるだけで、カテキンやテアニンといった水溶性の栄養素を摂ることができるのです。

また、不水溶性の栄養成分はお茶に溶け出さないため、茶葉そのものを取り入れる必要があります。

急須に残ったお茶の葉をおひたしにして食べたり、乾燥させてふりかけにして食べたりすることでも不水溶性の栄養成分を摂ることができますが、手間がかかります。

しかし、深蒸し茶なら、細かく粉のようになった茶葉がお茶に含まれるので、お茶と一緒に茶葉を摂ることができるのです。

茶葉を料理しなくても、お茶を飲むだけで不水溶性の栄養成分も摂れるため、手軽なのがメリットです。

5-2.コクと甘みのあるお茶が好みな人

深蒸し茶は、苦味がやわらげられており、コクと甘みを感じる味わいです。

そのため、お茶の苦味が苦手な方、コクと甘みのあるお茶が好みの方にもおすすめです。

逆に、お茶の香りを重視する方、苦味のあるすっきりとした味がお好みの方には浅蒸しのお茶をおすすめします。

5-3.簡単においしいお茶を飲みたい人

簡単においしいお茶を飲みたい人にも深蒸し茶はおすすめです。

深蒸し茶は、蒸し時間を長くすることで、茶葉の細胞膜が壊れやすくなっています。

そのため、水の良しあしに左右されにくく、おいしいお茶を淹れることができるのです。

あまり手間をかけず、手軽においしいお茶を飲みたい人は深蒸し茶がおすすめです。

5-4.カフェインをあまり摂りたくない人

カフェインをあまり摂らないようにしたい人にも深蒸し茶はおすすめです。

カフェインは覚醒作用や利尿作用があり、眠気覚ましなどに用いられますが、摂りすぎると不眠や頭痛などの副作用が出てしまうことがあります。

そのため、なるべくカフェインを摂る量を減らしたいという人もいます。

蒸し時間を短くしても長くしても、茶葉に含まれるカフェインの量は変わりません。

しかし、茶葉に含まれるカフェインは、抽出する温度が高ければ高いほど抽出されやすくなります。

カフェインをあまり含まない緑茶にするには、低温、特に水出しの緑茶がおすすめです。

深蒸し茶は、水出しでもしっかりお茶のうま味や甘みが引き出せます。

カフェインを摂りたくない人は、水出しの深蒸し茶を飲むとよいでしょう。

簡単な水出し緑茶の淹れ方は「6-2.成分が抽出しやすいから水出しもおすすめ」で紹介しますので、こちらも参考にしてみてください。

6. 深蒸し茶をおいしく淹れるための7つのポイント

せっかくおいしい深蒸し茶の茶葉を手に入れたなら、おいしいお茶を淹れたいですよね。

深蒸し茶をおいしく淹れるには、7つのポイントを抑えるだけでOKです。

おいしい深蒸し茶の淹れ方を紹介します。

6-1.深蒸し茶は短時間でさっと淹れる

深蒸し茶はお茶の味が出やすいお茶です。

あまり時間をかけず、短時間でさっと淹れましょう。

6-1-1.深蒸し茶急須を使う

深蒸し茶をおいしくいれるなら、網がついた深蒸し茶急須を淹れるのがおすすめです。

茶葉が浸透しやすいだけでなく、目詰まりがしにくくなっています。

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6-1-2.沸騰したお湯を湯呑に入れて温度を80度まで冷ます

水道水は沸騰させることでカルキ臭が抜け、おいしいお茶を淹れることができます。

4~5分ほど沸騰させた後のお湯を、湯のみに人数分注ぎ、お湯の温度を下げます。

お湯の温度の目安は80度ほどですが、温度計がなくても「沸騰させたお湯を湯のみに淹れてから、急須に注ぐ」という手順を守れば大丈夫です。

6-1-3.急須に茶葉をスプーン1杯入れる

2、3人分のお茶を淹れる場合、茶葉を急須にスプーンで軽く1杯淹れます。

1人分の目安は約3グラムです。

飲む人数などによって調節しましょう。

6-1-4湯のみのお湯を急須に入れる

湯冷ましした湯のみのお湯を急須に入れます。

お湯の量は急須の7分目までにしましょう。

お湯が多すぎると、お茶の香りが広がりにくくなってしまいます。

6-1-5.急須をゆっくり回す

お湯を入れたら、急須を持ち上げてゆっくりと数回回します。

茶葉が急須の中で広がり、お茶の味や香りが広がっていきます。

普通の煎茶の場合、お湯を入れた後1分ほど急須の中でお茶を蒸らしますが、深蒸し茶はお茶の味が出やすいため、待ち時間は必要ありません。

6-1-6.湯のみに均等にまわしつぎ

 

急須のお茶を、湯のみに均等になるようまわしつぎします。

つぎ始めは薄く、後になるほどお茶が濃くなるので、一度に湯のみに注ぐのではなく、3分の1くらいずつまわしつぎすると味が均等になります。

6-1-7.最後の1滴まで絞り切る

急須にお茶を残さないよう、最後の1滴まで注ぎます。

最後は軽く急須を振り、最後の一滴まで絞り切りましょう。

急須にお湯を残さないことで、二煎もおいしくいただけます。

淹れ終わったら急須の蓋を開けておき、中の熱を逃しておくとより二煎目がおいしくなります。

6-2.成分が抽出しやすいから水出しもおすすめ

もっと簡単においしい深蒸し茶が飲みたい!という人には、水出しにするのもおすすめです。

深蒸し茶は抽出しやすい茶葉ですから、水出しでもしっかりお茶の味わいが引き出せます。

水出しにすると、お茶のうまみ成分であるテアニンがじっくりと引き出され、うまみが強く苦味の少ない味になります。

水出し深蒸し茶の淹れ方はとても簡単です。

1リットルの水出し緑茶用ボトルを使う場合
①ボトルに深蒸し茶の茶葉を10~15g(スプーンに軽く2杯ほど)入れる※フィルターのないタイプのボトルの場合はお茶パックに茶葉を入れると◎
②ボトルに水を注ぐ※水は浄水器を通したものか、4~5分沸騰させた後冷ましたものを使うとよりおいしい
③水を入れたボトルを冷蔵庫で3時間以上冷やしながらお茶を抽出する

前日の夜に深蒸し茶を水出しボトルに入れて置けば、次の日にはおいしい水出し緑茶を飲むことができます。

手軽においしい緑茶が飲めますから、ぜひ試してみてください。

6-2-1.水出しならカフェイン量も減らせる

緑茶に含まれるカフェインは、お茶を淹れるときの温度が高ければ高いほど抽出されやすくなります。

逆に温度が低いと、カフェインはほとんど出ません。

温度が10度以下の場合、緑茶のカフェインはほとんど抽出されないため、カフェインを気にせずに飲むことができるのです。

カフェインが気になる方は、ぜひ水出し緑茶を試してみてください。

6-2-2.フィルター付きの水出しボトルなら手軽

さらに手軽に水出し緑茶を楽しみたい方は、フィルター付きの水出しボトルがおすすめです。

フィルター付きなら、茶葉をお茶パックに入れなくても、そのままボトルに入れて水出し緑茶が作れます。

スリムなボトルを選べば、冷蔵庫で場所を取ることもありません。

持ち歩き出来るタイプや割れにくいポリプロピレン樹脂製のものもありますから、自分のスタイルに合ったボトルを選ぶとよいでしょう。

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7.おいしい深蒸し茶をお探しなら荒畑園もおすすめ

おいしい深蒸し茶をお探しなら、荒畑園もお茶もおすすめです。

荒畑園があるのは、深蒸し茶発祥の地である静岡県の牧之原台地。

荒畑園はそんな牧之原台地で、お茶を栽培、生産しています。

7-1.荒畑農園は土にこだわる

荒畑農園の茶畑で、特にこだわっているのが「土」です。

荒畑園では、世界農業遺産にも指定されている「茶草場農法」で茶畑の土を作っています。

茶草場農法とは、1年に1度、秋から冬にかけて茶畑の周りに広がる採草地でススキなどの草を刈り取り、茶畑の有機肥料として活用する昔ながらの農法です。

刈った草は細かくしてから茶畑にまきます。

茶畑にまくのは、

・ススキなどの山草の栄養が茶畑に与えられる

・土の温度を保つ保温効果

があるからです。

さらに、もみがら、米ぬか、菜種粕などを土壌有効微生物菌(VS34)とともに発酵させて作った自社独自のもみがらたい肥を使い、茶畑を栄養たっぷりの土壌へと育てていきます。

自らこだわって作った土で育てることで、元気が良く栄養成分をたっぷり含んだ新芽ができるのです。

7-2.こだわりの製法で作るまろやかな甘みと深いコクのある深蒸し茶

荒畑園は、深蒸し茶の製法発祥の地である牧之原台地で、深蒸し茶にこだわってお茶を作っています。

普通煎茶の3倍から4倍長く茶葉を蒸すことで、タンニンが減り、まろやかな甘みと深いコクのある深蒸し茶に仕上がるのです。

熟練の茶師が蒸し時間や揉みの工程、乾燥まで細心の注意を払って製茶した、極上の深蒸し茶です。

仕上げた茶葉は、真空パックにして温度管理された大型冷蔵庫で、味や香り、鮮度を保ちます。

そして注文が入ってから、ひとつずつ火入れという仕上の行程を行ってから、お客様の元へお届けします。

おいしい深蒸し茶をお探しなら、ぜひ荒畑園のお茶をお試しください。

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7.まとめ

深蒸し茶についてご紹介しました。

最後に深蒸し茶についてまとめておきます。

深蒸し茶とは
・蒸し時間を長くしたお茶

通常の煎茶の倍、40秒から120秒ほど蒸して作ります。

深蒸し茶の特徴は
・茶葉が細かい・お茶の色が濃い緑色・コクと甘みのある味わい

深蒸し茶は蒸し時間を長くすることで、お茶の葉の細胞膜が壊れやすくなり、茶葉がこまかくなります。

その分、お茶の成分や栄養素が抽出されやすくなり、淹れたお茶の色は濃い緑色です。

蒸し時間を長くとることで、お茶の苦味が減り、甘みとコクのあるお茶になります。

蒸し時間による煎茶の味や色の違いは以下の通りです。

深蒸し茶は、お茶の栄養素を効率よく取ることができます。

その理由は

・茶葉の細胞膜が壊れやすくなり、水溶性の栄養成分が抽出されやすい・細かく粉状になった茶葉を一緒に飲めるため、不水溶性の栄養成分も摂れる

からです。

深蒸し茶で摂れる栄養成分は

水溶性の栄養成分

カテキン お茶の苦味成分 抗菌・抗ウイルス、抗酸化、血中コレステロール低下
テアニン お茶のうまみ成分 リラックス効果、集中力アップ、安眠効果
ビタミンC お茶に含まれるビタミン 抗酸化作用、美白、免疫力アップ

不水溶性の栄養成分

食物繊維 お茶の葉に含まれる食物繊維 便通改善、大腸がん予防
ベータカロテン 体内でビタミンAに変わる 夜盲症の予防改善、粘膜を丈夫にする
ビタミンE お茶に含まれるビタミン 抗酸化作用、血行促進、ホルモンバランスを整える

深蒸し茶をおすすめする人は

・お茶に含まれる栄養素を手軽に取り入れたい人

・コクと甘みのあるお茶が好みな人

・簡単においしいお茶を飲みたい人

・カフェインをあまり摂りたくない人

深蒸し茶をおいしく淹れるポイントは、

①深蒸し茶急須を使う②沸騰させたお湯を湯のみに淹れて冷ます③急須にスプーン軽く1杯の茶葉を淹れる④湯のみのお湯を急須に入れる⑤急須をゆっくり回す⑥湯のみに均等にまわしつぐ⑦湯のみに最後の一滴まで注ぎ切る

の7つです。

また深蒸し茶はお茶の成分が抽出されやすいので、水出し緑茶でも美味しく淹れることができます。

水出しにするとカフェインの量を減らすことも出来ます。

深蒸し茶は、甘みとコクがあり、おいしく飲めるお茶です。

淹れ方も難しくありませんし、水出しにしてもおいしく頂けます。

お茶の栄養成分も手軽に摂ることができます。

深蒸し茶をぜひ生活に取り入れて、お茶のリラックス効果を実感してみてくださいね。

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