「新茶」とは、その年最初にでた新芽を摘み取ってお茶にしたものです
お茶は年に3回から4回収穫することができますが、新茶はその年一番最初に出た新芽を摘み取り、作るお茶です。
一番目に収穫することから、一番茶とも呼ばれます。
新茶とは | 年3~4回ある収穫期の一番最初の時期にとれたお茶 |
新茶の収穫時期 | 4月から5月にかけて |
飲める時期 | 5月から夏ごろまで |
味 | 甘みとうま味が強く、苦味が少ない |
香り | 新緑を思わせる爽やかな香り |
栄養素 | テアニンが豊富でリラックス効果が高い |
上の表にもあるように、実は新茶は、普通のお茶とは味や栄養成分に大きな違いがあります。
新茶は甘みとうま味が強いとされており、おいしいといわれていますが、好みやシチュエーションに合わなければ飲んでも満足できません。
また、新茶は茶葉に含まれる成分が普通の煎茶と異なるため、美味しく飲むためには淹れ方に注意しなくては台無しになってしまうことがあるのです。
そこでこの記事では、新茶について詳しく紹介。
この記事を読めば
・新茶とはどんなお茶なのか
・新茶の特徴
・新茶がおいしい理由
・新茶の時期
・一般的なお茶と新茶の違い
・新茶がおすすめの人
・おいしい新茶の選び方
・新茶のおいしい淹れ方
がわかります。新茶がどのようなお茶なのか、普通のお茶との違いを理解し、自分に新茶がおすすめかどうかを判断し、自分好みの新茶を見つけることができます。
この記事が、新茶を楽しむきっかけになれば幸いです。
1.新茶とは
新茶とは、その年最初に収穫された新芽で作ったお茶のことです。
お茶は、年3回から4回収穫できます。新茶はこのうち1回目の収穫で摘み取られた新芽で作ったお茶のことです。
そのため、一番茶とも呼ばれます。
新茶(一番茶) | 年4回あるお茶の収穫期の中で1回目に摘まれた新芽で作るお茶収穫期は4月~5月 |
新茶は、前年の秋から冬にお茶の木が蓄えた栄養をたっぷり持って伸びた新芽で作ります。
そのため、お茶の栄養がたっぷり含まれており、おいしいお茶として昔から大切にされてきました。
2.新茶の3つの特徴
新茶は、秋から冬にかけてお茶の木が蓄えた栄養をたっぷり持って伸びた新芽で作るお茶です。
そのため、二番茶以降の茶葉で作ったお茶とは違う、新茶ならではの特徴があります。
新茶の特徴は
・テアニンが多くてカテキンが少ない
・新茶を飲むと一年間健康でいられるという縁起物
・目上の方に新茶を贈る風習もある
の3つです。それぞれ詳しく紹介します。
2-1.新茶はテアニンが多くてカテキンが少ない
新茶は、テアニンという成分が多く、カテキンが少ないという特徴があります。
テアニン | アミノ酸の1種 お茶のうま味や甘みになる |
カテキン | ポリフェノールの1種 お茶の苦味や渋みになる |
テアニンに紫外線が当たると、カテキンへ変化します。紫外線が強くなる初夏から夏にかけて、お茶の葉に含まれるカテキンの量はどんどん増えていくのです。
新茶は、秋から冬にかけてお茶の木が根に蓄えたテアニンをたっぷり含んでいます。
さらに春の紫外線が少ない時期に収穫されるため、テアニンはカテキンに変わっていません。
そのため、テアニンの量は一番茶が最も多く、一番茶のテアニン含有量を100%とした場合、二番茶は一番茶の約4割、三番茶は約3割しかテアニンが含まれていないのです。
お茶の種類 | テアニンの含有量 |
新茶(一番茶) | 1.07%(100%) |
二番茶 | 0.46%(43%) |
三番茶 | 0.34%(32%) |
※()内の数値は一番茶に対する割合の変化を示す
テアニンが多く、カテキンが少ないのが新茶の大きな特徴で、このことによって味や栄養に大きな違いが生まれるのです。
2-2.新茶を飲むと一年間健康でいられる縁起物
新茶は、飲むと一年間健康でいられるという縁起物として大切にされてきたというのも特徴です。
日本には昔から、初物として、そのシーズンに最初にとれたものやその年初めて食べるものを縁起物として大切にしてきた風習があります。
この「初物」をありがたいものとする風習は江戸時代に庶民の間にも広まり、あまりの過熱ぶりに「初物禁止令」が江戸幕府からでたというほど、初物は縁起がよいとされてきたのです。
新茶もそのひとつで、その年に初めてとれたお茶の葉で作った新茶は、飲むと一年間健康でいられるといわれてきました。
2-3.静岡では目上の方に新茶を贈る風習もある
お茶どころとして知られる静岡県では、お中元の代わりに新茶を贈るという風習もあります。
緑茶は、お葬式の香典返しのイメージがあるため贈り物にはふさわしくない、というマナーが一時話題になりましたが、実は日本では昔から緑茶は縁起物として贈り物にする風習があります。
お茶の木は地面にしっかりと根を張り、一度植えると植え替えがしにくいことから、九州では結納の際に贈られる品にお茶が入っています。
また、108歳のお祝いを「茶寿」といい、長生きのお祝いとしてお茶を贈る風習があるのです。
おいしく、初物としての価値もある新茶は、その方の一年間の無病息災を祈る気持ちを込めて贈るのにピッタリの品なのです。
3.新茶がおいしい理由
新茶は昔から「おいしい」といわれています。
実は新茶がおいしいのには理由があるのです。
新茶がおいしい理由を紹介します。
3-1.テアニンが多いためうま味と甘みが強い
新茶は、特徴でも紹介したように、テアニンが二番茶以降よりも豊富です。
テアニンは、アミノ酸の一種で、お茶に甘みやうま味を与える成分です。
テアニンが多く含まれていることで、一番茶は甘みとうま味が強く感じられるお茶になるのです。
新茶に含まれるテアニンの量は、二番茶以降のお茶の3倍以上とされています。
テアニンがたっぷり含まれる新茶は、甘みとうま味が強く感じられるおいしいお茶なのです。
3-2.カテキンが少ないため苦味や渋みが少ない
新茶はカテキンが少ないため、苦味と渋みが少ないのも、おいしさにつながります。
カテキンは、お茶の苦味や渋みにつながる成分です。
カテキンは、テアニンに紫外線が当たることによって変化して生まれます。
新茶は紫外線が少ない春から初夏にかけて出た新芽で作られるため、テアニンがカテキンに変わっておらず、カテキンの量は二番茶以降の茶葉に比べて少なくなっています。
そのため、新茶は飲んだ時に苦味や渋みが少なく、おいしく感じられるのです。
4.新茶の時期とは
新茶が収穫されるのは、4月から5月にかけての間です。
収穫されたお茶の葉は加工され、5月から夏ごろまで新茶として販売されます。
新茶の時期について、さらに詳しく紹介します。
4-1.新茶の主な収穫時期は4月から5月まで
新茶の収穫時期は、先ほど紹介したように、主に4月から5月にかけてです。
お茶の木は、秋から冬にかけては生育が止まります。
春になり、暖かくなってくると新芽が伸びてきて、その新芽を摘んで作るのがお茶です。
お茶の新芽が伸びる時期は、地域によって異なりますが、4月から5月にかけてが最盛期です。
初夏になると、新茶の季節がやって来たと思ってください。
4-1-1.八十八夜は新茶を摘む目安の日 2022年は5月2日
「夏も近づく八十八夜」という歌で知られる八十八夜は、新茶を摘み取る茶摘みのシーズンとしても知られています。
八十八夜は、季節の移り変わりを表す暦のひとつで、昔から初夏の農作業を始める目安として使われてきました。
初夏に行う農作業のひとつには茶摘みがあることから、八十八夜は新茶を摘み取る目安の日としても知られています。
2021年の八十八夜は5月1日、2022年は5月2日です。
八十八夜の新茶は特に縁起が良いとされているため、新茶が大々的にアピールされる時期でもあるのです。
八十八夜の別れ霜・八十八夜の泣き霜とは 八十八夜は、初夏が始まる日とされており、八十八夜までは降りていた霜が、八十八夜を境に降りなくなるといわれてきました。そのことから「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」という言葉も生まれました。お茶にとっても霜は大敵です。お茶の新芽は霜に弱く、霜が当たった芽は茶色く変色し、成長が止まってしまいます。お茶農家さんたちは、お茶の新芽の生育をみながら、八十八夜までは霜が降りないかを心配していたのです。八十八夜を過ぎ、霜が降りる心配が少なくなったころから、新茶の収穫はピークを迎えるのです。 |
4-1-2.地域によって新茶の時期は変わる
新茶の収穫は、地域によって異なります。
これは、お茶の木が春になり、気温が上がると新芽が伸びるという性質があるからで、南の温暖な地域は早め、山間部のお茶どころは遅めになります。
温暖な鹿児島は、日本で最も早く新茶が出るお茶どころとして知られており、3月末から収穫が可能です。
お茶の主な産地と新茶が収穫できる時期は以下の通りです。
お茶の産地 | 新茶の収穫時期 |
鹿児島 | 3月末から4月中旬 |
宮崎 | 4月中旬から5月下旬 |
嬉野(佐賀県・長崎県) | 4月中旬 |
丹波(兵庫県) | 5月中旬 |
宇治(京都府) | 4月下旬 |
伊勢(三重県) | 4月中旬から5月上旬 |
白川(岐阜県) | 5月上旬 |
静岡 | 4月下旬から5月中旬 |
狭山(埼玉県) | 5月上旬から5月下旬 |
奥久慈(茨城県) | 5月中旬 |
村上(新潟県) | 5月下旬 |
地域によって新茶が収穫できる時期が異なりますが、おおむね4月から5月にかけて収穫されます。
おいしい新茶を飲みたいのなら、5月末を目途に新茶を探してみると、様々な地域の新茶から自分好みのものを選ぶことが可能です。
4-2.その年の新茶は5月初旬から夏ごろまで販売
収穫された新芽がお茶に加工され、「新茶」として発売されるのは5月初旬から夏ごろまでです。
お店によって少し異なりますが、夏を過ぎると一番茶であっても「新茶」としては販売されなくなります。
時期が過ぎることで、少し風味なども変わっていきますから、おいしい新茶を飲みたいのなら夏までに早めに購入しておきましょう。
夏が過ぎた新茶は「蔵出し茶」として楽しめる 夏を過ぎた後の新茶(一番茶)は、「蔵出し茶」として販売されます。 蔵出し茶とは、お茶屋さんのきちんと管理された保存庫で、低温で熟成させた一番茶のことです。夏までの新茶と比べると、角がとれてマイルドな風味になります。 徳川家康も愛飲したとされており、初夏や夏に飲む新茶とはまたちがったおいしさを味わえます。 |
5.一般的なお茶と新茶の違い
新茶には様々な特徴がありますが、一般的なお茶とはどのような違いがあるのでしょうか?
新茶と普通のお茶との違いは
・収穫時期
・味や香り
・含まれる栄養や効果
・価格
です。
それぞれ詳しく紹介します。
5-1.新茶と普通のお茶との違い1 収穫時期
新茶と普通のお茶との違いは、茶葉を摘み取る収穫時期の違いです。
お茶の種類 | 収穫時期 |
新茶(一番茶) | 4月~5月 |
二番茶 | 5月末~6月(一番茶の収穫から約45日後) |
三番茶 | 7月~8月(二番茶の収穫から一月後) |
四番茶 | 9月下旬 |
新茶は、その年の春から初夏にかけて初めて出た新芽だけを摘み取った、一番茶で作られます。
普通のお茶は二番茶から四番茶までの茶葉で作られます。
三番茶、四番茶は味や香りが落ちてしまうため、収穫しないお茶農園もあります。
新茶は一番茶のみで作られているのが、大きな違いとなるのです。
5-2.新茶と普通のお茶との違い2 味や香り
新茶と普通のお茶は、味や香りにも違いがあります。
新茶 | 二番茶 | 三番茶 |
うま味と甘みが強く苦味は少ない | さっぱりとした味少し苦味が出る | 味が落ちるうま味は少ない |
新緑のような爽やかな香り | 新茶に比べると香りは弱まる | 香りは弱い |
新茶は、テアニンが豊富でカテキンが少ないため、甘みとうまみが強く感じられるおいしいお茶になります。
それに対して二番茶の茶葉で作られる普通のお茶は、カテキンの量が増え、うま味と苦味のバランスがとれたさっぱりとした味わいです。
三番茶以降は、味がかなり落ちてしまうため、ペットボトル飲料に使われることが多い茶葉です。
茶園によっては収穫しない場合もあります。
好みにもよりますが、お茶のうま味を味わいたいなら新茶を選ぶのがおすすめです。
5-3.新茶と普通のお茶との違い3 効果
新茶は普通のお茶に比べると、リラックス効果が高いという違いがあります。
新茶には、二番茶以降のお茶の約3倍のテアニンが含まれています。
テアニンには、安眠効果、リラックス効果があることが認められており、テアニンが豊富な新茶は普通のお茶よりもリラックス効果が高いのです。
5-4.新茶と普通のお茶との違い4 価格
新茶と普通のお茶は、価格にも違いがあります。
お茶の販売店や茶園にもよりますが、新茶は普通のお茶よりも価格は高めです。
新茶を作る一番茶は、二番茶以降のお茶に比べて品質が良く、その分高値がつきます。
また新茶として販売することで、旬であることや縁起が良いとされることもあり、より価値が高まるため、価格も上がってしまうのです。
例えば荒畑園の場合は価格が以下のように変わります。
新茶(一番茶) | 普通のお茶 |
一作(100g)3,240円 | えんじ(100g)540円 |
極上(100g)2,160円 | あさみどり(100g)648円 |
価格と味のバランスをみながら、お茶を選ぶと良いでしょう。
6.新茶がおすすめな人
新茶は普通のお茶とはいくつかの違いがあります。
普通のお茶ではなく、新茶がおすすめな人はどんな人なのでしょうか?
新茶がおすすめの人は
・うま味の強いお茶を飲みたい人
・お茶を飲んでリラックスしたい人
・旬のものを取り入れて季節感を感じたい人
・大切な人へのプレゼントとしてお茶を選びたい人
です。それぞれ詳しくみていきましょう。
6-1.うま味の強いお茶を飲みたい人
うま味の強いお茶を飲みたい人は、普通のお茶ではなく新茶を選ぶのがおすすめです。
新茶は、二番茶以降のお茶と比べてうま味成分であるテアニンが豊富で、苦味や渋み成分であるカテキンが少ないという特徴があります。
そのため、苦味が少なく、うま味が感じられるお茶をお探しの方に新茶はおすすめなのです。
6-2.お茶を飲んでリラックスしたい人
お茶を飲んでひと息つきたい方、リラックスしたいと思う人にも新茶はおすすめです。
新茶に豊富に含まれるテアニンには、リラックス効果があることがわかっています。
お茶には覚醒効果があるカフェインも含まれていますが、テアニンがたっぷりの新茶は、カフェインの覚醒効果を和らげ、よりリラックスすることができるのです。
仕事の合間など、ストレスを和らげてリラックスするためにお茶を飲みたい人は新茶を選ぶと良いでしょう。
6-3.旬のものを取り入れて季節感を感じたい人
旬のものを食べたり飲んだりして生活に取り入れ、季節感を感じたい人にも新茶はおすすめです。
新茶ならではの爽やかな香りは、飲むだけで初夏の訪れを感じさせてくれます。
また食べ物とは違い、新茶は茶葉を購入すれば何度も淹れて飲むことができますから、5月から夏にかけて、季節感を気軽に楽しむことができます。
季節感を毎日の生活に取り入れたい人は、ぜひ新茶を購入してみてください。
6-4.大切な人へのプレゼントとしてお茶を選びたい人
大切な人へのプレゼントにお茶を選びたい人にも、新茶はおすすめです。
新茶は昔から、飲むとその一年無病息災でいられるといわれるほど縁起の良いものです。
一部の地域では目上の人に新茶を贈る風習もありました。
大切な人に、今年一年元気に過ごしてください、という気持ちを込めて贈るのにも、新茶はピッタリなのです。
7.おいしい新茶の選び方
新茶はおいしいといわれていますが、産地やお茶屋さんによって味が異なります。
おいしい新茶を選ぶには、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
自分好みのおいしい新茶の選び方を紹介します。
7-1.産地によるお茶の味の特徴
お茶の味は、産地によって違いがあります。
主なお茶の産地の味の特徴をまとめてみました。
お茶の産地 | 味の特徴 |
静岡 | 香り 弱 うま味・甘み 強 苦味・渋み 弱 |
鹿児島 | 香り 中 うま味・甘み 強 苦味・渋み 弱 |
宮崎 | 香り 強 うま味・甘み 強 苦味・渋み 弱 |
宇治(京都府) | 香り 強 うま味・甘み 中 苦味・渋み 中 |
伊勢(三重県) | 香り 弱 うま味・甘み 強 苦味・渋み 弱 |
狭山(埼玉県) | 香り 強 うま味・甘み 強 苦味・渋み 弱 |
お茶の三大名産地と呼ばれるのは、静岡、宇治、狭山です。
茶摘み歌にも「色は静岡 香りは宇治よ 味は狭山でとどめさす」と歌われています。
深蒸しの静岡茶は色が深い緑色をしており、うま味が強く苦味がすくないまろやかな味わいです。
宇治茶は、茶の木に覆いをかぶせて日光を遮断して育てることで、香りが高くすっきりとした味わいが特徴となります。
狭山茶は、お茶の木には寒い環境で育てることで、肉厚で深いうま味とコクのある茶葉に育ちます。また狭山火入れというしっかりとした焙煎を行うことで、独特の濃厚な味わいのお茶に仕上がります。
その他にも様々なお茶の産地があり、違った味わいがありますから、新茶を飲み比べてみるのもオススメです。
7-2.値段が高いほど茶葉の品質がよくうま味成分が多い
基本的には、値段が高いほど茶葉の品質は良く、うま味成分が多いおいしい新茶になります。
新茶とひとことで言っても、最初の頃に収穫した新芽と、少し成長してから収穫した新芽では、最初の新芽の方がやわらかく、テアニンなどの成分が凝縮されています。
少し成長した新芽は、固くなり、うま味成分などは少なくなりますが、収穫量は増えます。
そのため、早めの時期に収穫した新茶の方がよりおいしいお茶になりますが、価格は高くなってしまうのです。
新茶のなかでも価格の違いがあるのはこのためで、基本的には値段が高いほど茶葉の品質も上がり、うま味成分が多くおいしいお茶になります。
新茶の価格はお茶屋さんによって異なりますが、同じお茶屋さんの新茶を選ぶなら、少し高めのものを選ぶとおいしいお茶に巡り合える可能性が高くなります。
7-3.飲み比べセットを選ぶのもおすすめ
初めて新茶を購入する場合、産地の違いや価格の違いで味に違いがでることはわかっても、どれを選んでよいか決めかねることもあります。
そんな時は、数種類の新茶を飲み比べできるお試しセットを購入するのもおすすめです。
産地や製法、収穫時期などの違いがある新茶を小分けにしてセットになっているので、気軽に飲み比べすることができます。
いくつかの茶葉を飲み比べることで、自分の好みもわかりますから、ぜひ試してみてください。
おいしい新茶をお探しなら荒畑園もおすすめ!
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8.新茶のおいしい淹れ方
新茶のおいしさを最大限に引き出す淹れ方のポイントは次の8つです。
①茶葉は一人分ティースプーン1杯入れる
②沸騰させたお湯を湯のみに入れて80℃に冷ます
③湯のみのお湯を静かに急須に入れる
④40秒待つ
⑤ゆっくり三回急須を回す
⑥均等に湯のみに回し注ぎ、最後まで注ぎ切る
⑦二煎目は70℃のお湯を入れてすぐに注ぐ
⑧三煎目はポットから直接お湯を入れてすぐに注ぐ
それぞれ詳しく紹介します。
8-1.茶葉は一人分ティースプーン1杯入れる
新茶をおいしく淹れるには、茶葉の量は人数分しっかり入れることが大切です。
一人分の適量は、湯のみ1杯に対してティースプーンに1杯です。
ティースプーンに山盛り1杯、少し多めを心がけるとよりおいしくなります。
8-2.沸騰させたお湯を湯のみに入れて80℃に冷ます
お湯は急須に直接入れるのではなく、湯のみに入れて80℃まで冷ましてから使います。
湯のみに入れて2、3分置けば80℃くらいになります。
テアニンなどのうま味成分は低い温度でも抽出できますが、カテキンなどの苦味・渋み成分は温度が低いと抽出されにくくなります。
新茶ならではのうま味を味わうなら、お湯の温度は低めがベストなのです。
8-3.湯のみのお湯を静かに急須に入れる
湯のみで冷ましたお湯を、静かに急須に注ぎます。
お湯の量は急須の7分目までにしておきましょう。
お湯の量が多すぎると、茶葉の香りが開きにくくなってしまいます。
8-4.40秒待つ
急須は回さず、40秒ほど待ちます。
急須の蓋は閉めておき、茶葉を蒸らしていきましょう。
8-5.急須をゆっくり三回回して茶葉を開かせる
お茶の葉を蒸らしたら、急須を水平に持ち上げて、そのまま床と平行にゆっくり三回急須を回します。
茶葉が急須の中で広がり、お茶のうま味が抽出されていきます。
早く回してしまうと、お茶の雑味が出てしまうので、ゆっくり静かに回してください。
8-6.湯のみに均等に注ぎ、最後まで注ぎ切る
淹れたお茶は、湯のみに均等に回し注ぎします。
お茶は最初と最後で濃さが異なりますから、どの湯のみも同じ味わいになるよう、均等に注ぐことが大切です。
ひとつめの湯のみに3分の1ほど注いだら、次の湯のみに3分の1、というように、だいたい3回に分けて注いでいくと均等になります。
また最後まで注ぎ切ることで、一番うま味が強い最後の一滴までしっかり頂くことができます。
最後は急須を軽く上下に振り、最後の一滴まで絞り切るようにしましょう。
8-7.二煎目は70度のお湯を入れてすぐに注ぐ
二煎目を頂くときは、一煎目よりも冷ました70度のお湯を注ぎ、蒸らさずにすぐに湯のみに注ぎます。
すでに茶葉はしっかり開いていますから、時間をかけずにさっと淹れましょう。
8-8.三煎目はポットから直接お湯を入れてすぐに注ぐ
三煎目は、ポットから直接熱いお湯を入れ、すぐに湯のみに注ぎます。
お茶のうま味や香りは二煎目まででほぼ出切ってしまっていますが、渋みがあるさっぱりとした味のお茶になり、好みだという人もいます。
自分に合った飲み方を試してみてください。
9.まとめ
新茶についてご紹介しました。
新茶は、その年最初に出た新芽でできるお茶で、甘みやうま味が強く、苦味や渋みが少ないおいしいお茶です。
季節を感じるものでもありますから、ぜひ新茶を生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?
最後に新茶についてまとめておきます。
◎新茶とはその年最初に出た新芽で作るお茶のこと
新茶は、その年の春から初夏にかけて出た新芽で作るお茶のことです。
一番茶とも呼ばれます。
お茶の種類 | 収穫時期 |
新茶(一番茶) | 4月~5月 |
二番茶 | 5月末~6月(一番茶の収穫から約45日後) |
三番茶 | 7月~8月(二番茶の収穫から一月後) |
四番茶 | 9月下旬 |
◎新茶の3つの特徴は
・テアニンが多くカテキンが少ない
・新茶を飲むとその年1年無病息災でいられる縁起物
・目上の方に新茶を贈る風習もある
新茶はうま味成分であるテアニンが多く、苦み成分であるカテキンが少ないというのが特徴です。
また初物を尊ぶ風習から、新茶を飲むとその一年無病息災でいられると言われてきた縁起物でもあります。
縁起ものであることから、目上の方に新茶を贈る風習もありました。
◎新茶がおいしい理由はテアニンが多くカテキンが少ないから
テアニン | アミノ酸の1種 お茶のうま味や甘みになる |
カテキン | ポリフェノールの1種 お茶の苦味や渋みになる |
新茶はうま味成分であるテアニンが多く、苦み成分であるカテキンが少ないことから、甘みやうま味が強く感じられて、苦味が少ないおいしいお茶になるのです。
◎新茶の収穫時期は4月から5月
新茶は主に4月から5月に収穫されます。
ただし、地域によっても異なります。
お茶の産地 | 新茶の収穫時期 |
鹿児島 | 3月末から4月中旬 |
宮崎 | 4月中旬から5月下旬 |
嬉野(佐賀券・長崎県) | 4月中旬 |
丹波(兵庫県) | 5月中旬 |
宇治(京都府) | 4月下旬 |
伊勢(三重県) | 4月中旬から5月上旬 |
白川(岐阜県) | 5月上旬 |
静岡 | 4月下旬から5月中旬 |
狭山(埼玉県) | 5月上旬から5月下旬 |
奥久慈(茨城県) | 5月中旬 |
村上(新潟県) | 5月下旬 |
◎新茶が販売されるのは5月から夏ごろまで
新茶が販売されるのは、その年の5月から夏ごろまでです。
夏が終わった後、一番茶は「蔵出し茶」として売られることもあります。
◎一般的なお茶と新茶との違いは収穫時期、味、香り、リラックス効果、価格
新茶は、4月から5月にかけてその年最初に出た新芽で作るお茶です。
普通のお茶は二番茶以降の茶葉を使って作られます。
一般的なお茶と新茶の味の違いは以下の通りです。
新茶 | 普通のお茶 |
うま味と甘みが強い味わい苦味は少ない | うま味と苦味のバランスが取れた味わいさっぱりとした味 |
新緑のような爽やかな香り | 新茶に比べると香りは弱まる |
新茶にはテアニンが豊富に含まれています。
そのため、普通のお茶よりもリラックス効果が高いのも特徴です。
また新茶は二番茶以降のお茶よりも品質が高く、高値で取引されるため、価格も高くなっています。
◎新茶がおすすめの人は
・うま味の強いお茶を飲みたい人
・お茶を飲んでリラックスしたい人
・旬のものを取り入れて季節感を感じたい人
・大切な人へのプレゼントとしてお茶を選びたい人
◎産地による新茶の味の違い
お茶の産地 | 味の特徴 |
静岡 | 香り 弱うま味・甘み 強苦味・渋み 弱 |
鹿児島 | 香り 中うま味・甘み 強苦味・渋み 弱 |
宮崎 | 香り 強うま味・甘み 強苦味・渋み 弱 |
宇治(京都府) | 香り 強うま味・甘み 中苦味・渋み 中 |
伊勢(三重県) | 香り 弱うま味・甘み 強苦味・渋み 弱 |
狭山(埼玉県) | 香り 強うま味・甘み 強苦味・渋み 弱 |
産地によっても味の特徴があります。
自分の好みのお茶を探してみましょう。
◎値段が高いお茶ほどうま味が強くおいしい
価格はお茶屋さんによっても異なりますが、価格の高いお茶の茶葉は、新茶の中でもより品質が高いものを使っています。
そのため価格が高いお茶ほど、うま味がつよくおいしいお茶になる傾向があります。
予算内であれば、少し高めの茶葉を選ぶとおいしいお茶に出会える可能性が高いでしょう。
◎飲み比べセットを選ぶのもおすすめ
いくつかの新茶をセットにした飲み比べセットを試してみると、自分の好みがどういうものかがわかります。
新茶を初めて買う場合は、飲み比べセットを選んでみるのもおすすめです。
◎新茶の美味しい淹れ方
新茶の美味しい淹れ方のポイントは
①茶葉は一人分ティースプーン1杯入れる
②沸騰させたお湯を湯のみに入れて80℃に冷ます
③湯のみのお湯を静かに急須に入れる
④40秒待つ
⑤ゆっくり三回急須を回す
⑥均等に湯のみに回し注ぎ、最後まで注ぎ切る
⑦二煎目は70℃のお湯を入れてすぐに注ぐ
⑧三煎目はポットから直接お湯を入れてすぐに注ぐ
次の5月にはおいしい新茶を選んで、毎日の生活のリラックスタイムに新茶を取り入れてみてください。