八十八夜とは、季節を表す暦の一つで、田植えや茶摘みなど初夏の農業を始める目安となる日です。
八十八夜は立春から88日後で、2021年は5月1日、2022年は5月2日になります。
八十八夜の後からは、畑や田んぼに霜が降りなくなり、本格的な夏が始まります。
そのため、田植えや茶摘みなど、初夏の農作業を八十八夜から始めていたのです。
実は八十八夜は、お茶との関係も深い日でもあります。
八十八夜は、新茶を摘むのに最適な時期とされており、八十八夜にとれたお茶を飲むことで、その一年を無病息災で過ごせるという言い伝えもあるのです。
また八十八夜のころにとれたお茶はとてもおいしいとされており、その理由も科学的に実証されています。
八十八夜はあまり身近でないイメージがありますが、八十八夜についてもっと深く知ることで、日本に昔から伝わるこの暦の日をより楽しむことができるはずです。
そこで、この記事では、
・八十八夜とは具体的にどんな日なのか
・2022年の八十八夜はいつか
・八十八夜が縁起が良い理由
・八十八夜とお茶の関連性
・八十八夜のお茶がおいしい理由
・八十八夜のお茶をさらにおいしく淹れる淹れ方
・八十八夜をおうちで楽しむための方法
など、さらに八十八夜について詳しく紹介します。
この記事を読めば、八十八夜について、どんな日なのかをきちんと理解し、自分の生活に取り入れることができます。
八十八夜を自分の生活にも取り入れて、初夏の季節をもっと楽しんでみてください。
1.八十八夜とは
八十八夜とは、具体的にどんな日なのでしょうか?
まずは八十八夜について詳しく紹介していきます。
1-1.季節を表す暦のひとつ
八十八夜とは、日本で昔から使われてきた季節を表す暦のひとつです。
簡単に言うと、「初夏が始まる日」で、「夏の農作業を始める目安」となる日が八十八夜なのです。
農業を行うには、季節の移り変わりはとても大切なものです。
気温が暖かくなる春から初夏には種まきや田植えを行い、秋には稲刈りなど収穫を行います。
そんな季節の移り変わりを把握するために、日本の気候や四季に合わせた暦が使われてきました。
それが二十四節気と雑節という二つの暦です。
二十四節気は、一年を24に分けたものです。
今でもカレンダーに載っていることも多いですし、春分の日のように祝日になっているものもあります。
雑節は、二十四節気には入らない、季節の移り変わりの目安となる日のことで、八十八夜も雑節のひとつです。
雑節には他に
・節分
・土用
・入梅
など、今でも使われているものが多くあります。
1-2. 八十八夜は初夏が始まる目安の日
八十八夜は初夏が始まる目安の日です。
八十八夜は、二十四節気では4月の穀雨の終わり、5月の立夏の直前に当たります。
八十八夜までは、暖かくなったと思ったら、急に寒さがぶり返すことがあります。
寒さがぶり返した時、農業に影響を与えるのが霜です。
霜が降りると、新芽が出たばかりの農作物に大きな被害を与えてしまいます。
暦の上では夏の直前ですが、「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の泣き霜」といって、八十八夜までは霜が降りることがありました。
八十八夜が過ぎると、ほとんど霜が降りることがなくなり、初夏が訪れます。
そして人々は田植えや茶摘みなど、初夏の農作業をスタートさせたのです。
八十八夜は初夏が始まる目安の日であり、初夏の農作業を始める目安の日でもあるのです。
1-3.立春から88日目が八十八夜、2022年は5月22日
八十八夜は、立春から数えて88日目に当たります。
立春は、二十四節気のひとつめで、春の始まり、一年の初めとされる日です。
現在の日本では、立春は「太陽黄経が315度になった瞬間が属する日」とされています。
国立天文台が観測し、日付を決定するため、日付が変動することがあります。
立春は1984年からずっと2月4日でしたが、2021年の立春は2月3日と37年ぶりに日付が変わりました。
そのため、2021年の八十八夜は5月1日でした。
また、うるう年の場合は2月29日が入るため、一日遅くなります。
2022年以降の八十八夜は以下の通りです。
2022年 | 5月2日 |
2023年 | 5月2日 |
2024年 | 5月1日 |
2025年 | 5月1日 |
2026年 | 5月2日 |
1-4.末広がりで縁起がいい
農業の目安として暦に記載された八十八夜ですが、縁起が良い日であるとも言われています。
これは、「八」の字が末広がりで縁起が良いとされていることから、その八が重なる八十八夜も縁起が良いと考えられたからです。
また、「米」という字を分解すると「八十八」になります。
日本でお米はとても大切な作物です。
そんなお米にも関連して、八十八夜は縁起がよい日であるとされてきたのです。
1-5.八十八夜の時期に行われること
八十八夜の時期に始める初夏の農作業は
・田植え
・野菜の種まき
・苗の植え付け
などがあります。
霜が降りなくなったことで苗や新芽にダメージを受ける心配がなくなるため、初夏の農作業をスタートさせるのです。
八十八夜は農家にとって、夏が始まる合図となる大切な日なのです。
2.八十八夜とお茶の関連性
「夏も近づく八十八夜」という歌があるように、八十八夜はお茶とも関係の深い日です。
八十八夜はお茶とどんな関係があるのか、詳しく紹介していきます。
2-1 八十八夜は茶摘みの時期
八十八夜を過ぎると、霜が降りることがなくなり、初夏の農作業が始まる目安となっていたことは先ほど紹介しました。
お茶も同じで、八十八夜は新茶を摘む茶摘みの目安となる日です。
お茶の木は、立春から少しずつ春が訪れ、暖かくなる中で地中の栄養を蓄え、親芽の間から新芽を出します。
この年に芽生えたお茶の新芽を収穫できるようになるのが八十八夜ごろ。
昔から八十八夜は、新茶を茶摘みする時期でもあったのです。
2-2茶摘みをしながら歌を歌った
夏も近づく八十八夜、という歌は、正式には「茶摘み」というタイトルです。
歌詞を紹介しましょう。
夏も近づく八十夜野にも山にも若葉が茂るあれに見えるは茶摘みじゃないかあかねだすきに菅の笠 日和つづきの今日このごろを心のどかに摘みつつ歌ふ摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ摘まにゃ日本の茶にならぬ |
この歌は文部省唱歌として発表された歌で、茶摘みの時に謳われていたものではありませんが、宇治などの茶どころで謳われてきた茶摘み歌をもとにしているという説もあります。
宇治では茶摘みを行う際、昼ごはんの前や一日の終わりなど作業の節目に、茶摘み歌といわれる歌を歌う習慣がありました。
地域や歌う人によって、歌詞や節は異なるそうですが、歌と茶摘みは関連が深いものなのです。
2-3.縁起物のお茶を飲んで健康や長寿を願った
八十八夜の時期に摘まれたお茶は、縁起物とされ、
・八十八夜のお茶を飲むと寿命が伸びる
・八十八夜のお茶を飲むと一年間健康でいられる
などと言われてきました。
これは八十八という末広がりの日に摘まれたお茶は縁起が良いというだけでなく、初物を尊ぶ風習にも寄るものです。
日本では昔から、「初物」といって旬の食べ物、そのシーズンに出始めたものを大切にしてきました。
「初物七十五日」といって、初物を食べると寿命が七十五日伸びると言われていたほどです。
初物、旬の食べ物には生気が溢れており、食べることでそのエネルギーを取り入れることができると考えられていたのです。
八十八夜のころに摘まれる新茶も、秋から冬にかけてしっかりと蓄えたエネルギーが詰まった新芽から作られます。
そんなお茶が持つパワーを頂くことで、健康や長寿を祈ったのです。
2-4.八十八夜のお茶を神様や目上の方に贈った
八十八夜のお茶は、新茶で縁起がよいだけでなく、おいしいお茶としても知られています。
そのため、八十八夜のお茶を神様にお供えしたり、目上の方へ贈る風習もありました。
特にお茶どころである静岡県では、お中元の代わりに新茶を贈る風習もあったようです。
相手の健康長寿、無病息災を祈って贈る八十八夜のお茶は、とても素敵な風習です。
3.八十八夜の時期のお茶はおいしい
八十八夜の時期に摘まれたお茶は、縁起が良いだけでなく、味もおいしいのが特徴です。
八十八夜のお茶はなぜおいしいのか、その理由を紹介します。
3-1.八十八夜のお茶は一番茶だからおいしい
お茶の収穫期は一年に3回ありますが、八十八夜ごろに摘まれるお茶は、一年で一番最初の収穫期にあたり、一番茶と呼ばれます。
お茶の種類 | 収穫時期 |
一番茶 | 4月中旬から5月中旬 |
二番茶 | 一番茶収穫終了から2カ月後6月中旬から7月中旬 |
三番茶 | 二番茶収穫終了から2~3週間後7月中旬から8月下旬 |
一番茶は、一年かけてたっぷり栄養を吸収しながら大切に育てられた、もっとも価値の高いお茶です。
甘みとうま味が強く、苦味が少ない、おいしいお茶となっています。
3-1-1.テアニンが多くうま味と香りが豊か
一番茶はテアニンという成分が多く含まれています。
テアニンは、アミノ酸の一種で、お茶の「うま味」はテアニンによるものです。
前年の秋から冬の間、お茶の木は休みながら根にしっかりとテアニンをはじめとするうま味成分を溜めこんでいます。
そして春、根に貯めたテアニンを、新芽へとゆっくりと送ります。
そのため、八十八夜に摘まれる新芽には、テアニンがたっぷりと含まれているのです。
そんな一番茶に含まれるテアニンの量は、平均で二番茶の3倍とされています。
うま味と甘みが感じられる、おいしいお茶が八十八夜に摘まれる一番茶なのです。
3-1-2.カテキンは少なく苦味がない
一番茶は、カテキンの量は二番茶、三番茶に比べて少なくなっています。
カテキンは、お茶の葉特有のポリフェノールで、苦味を感じさせる成分です。
カテキンは、紫外線が強くなると増えていく成分です。
春先、まだ紫外線が弱いころに育つ新芽は、カテキンがまだ少なく、苦味や渋みが少ないお茶になります。
苦味、渋みが少なく、甘みとうま味が強い一番茶は、おいしいお茶として認められてきたのです。
お茶に含まれるカテキンの量については「カテキンの量が最も多いお茶は「煎茶の二番茶」である理由」でも詳しく紹介していますから、参考にしてください。
3-2.一番茶は手摘みする農園も多い
一番茶は茶園でも最も品質の高いお茶になるため、手摘みする農園も多くあります。
お茶の収穫には、人が収穫する「手摘み」と機械を使う「機械摘み」があります。
手摘みは、人がお茶の葉の新芽をみながら、ひとつひとつ摘んでいきます。
目で確かめながら摘むので、古い葉や茎はほとんど入らず、品質の良いお茶が作れるのです。
手摘みは人手と時間がかかりますから、ほとんどは機械摘みです。
しかし、八十八夜ごろの一番茶は、手摘みすることもあります。
手摘みされた新茶は、より品質が高く、おいしいお茶になるのです。ぜひ八十八夜の時期のお茶を味わってみてください。
4.八十八夜のお茶をおいしく飲むためのポイント
うま味や甘みが濃く、おいしい八十八夜のお茶ですが、淹れ方や保存方法が間違っていると、せっかくのおいしさが台無しになってしまうことがあります。
八十八夜のお茶をおいしく飲むための淹れ方や保存方法などのポイントをみてきましょう。
4-1.おいしい新茶の入れ方
おいしい新茶の淹れ方は、次の6つのポイントを押さえておきましょう。
4-1-1.お湯を充分に沸騰させる
水道水にはカルキが含まれており、匂いが気になる場合があります。
カルキ臭は4~5分沸騰させておくと抜けるので、まずはしっかりとお湯を沸騰させておきましょう。
4-1-2.沸騰させたお湯を湯のみに入れて冷ます
新茶を淹れるのに適した温度は、80度から85度です。
沸騰させたお湯を人数分の湯のみに入れ、温度を冷まします。
沸騰したお湯を湯のみに入れて、1分半ほど待つと約80度になり適温です。
4-1-3.茶葉を急須に入れる
お茶の葉は、1人分3グラムほどが適量です。
お茶の葉の種類によって少し異なりますが、料理用の小さじ1杯で3グラムほどです。
一人分を淹れる時は、少し多めに茶葉を入れるとおいしくなります。
お湯の量の目安は、湯のみ1杯分で80~100ccです。
マグカップを使ってたっぷり飲みたい時は、お湯の量に合わせて茶葉の量も増やしましょう。
4-1-4.急須を2~3回静かに回して茶葉を開かせる
湯のみに入れて冷ましたお湯を急須に入れ、急須を2~3回静かに回して茶葉を開かせていきます。
4-1-5.お湯を残さず最後まで注ぎ切る
お茶を湯のみに注ぐ時は、お茶を残さないよう最後まで注ぎ切ります。
最後の一滴は、急須を振るようにすると残さず注げます。
注ぎ切った後は急須の蓋を開けておきましょう。
4-1-6.二杯目は茶葉を平らにしてから淹れる
二杯目を飲むときは、お湯を入れる前に急須の注ぎ口と反対側を軽くたたき、茶葉を平らにしてからお湯を入れます。
二杯目は少し熱めの90度くらいのお湯を使い、すぐに湯のみに注ぎましょう。
4-2.新茶の保管は密閉して冷暗所に
おいしい新茶の茶葉の品質を保つには、
・しっかり密閉する
・冷暗所に保管する
ことが大切です。
お茶を開封したら、お茶缶などしっかり密閉できる容器に移します。
そして、戸棚など直射日光が当たらず、湿気の少ないところに保管しましょう。
お茶の葉は冷蔵庫に入れてはダメなの? お茶には、脱臭・消臭効果があります。そのため、冷蔵庫に入れてしまうと、他の食品の匂いを吸収して風味が劣ってしまうのです。また冷蔵庫から出した時、茶葉と外気温の差で露が発生し、しけってしまいます。開封後のお茶は、冷蔵庫ではなく戸棚などの中で保管しましょう。 |
お茶の保存方法については「お茶の保存方法」でも詳しく紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
4-3.少量を購入して早めに飲み切る
新茶の風味や香りは開封後、少しずつ劣化していってしまいます。
せっかくの新茶を購入して飲むのなら、少量ずつを購入し、早めに飲み切るのがおすすめです。
まとめ買いしたい時は、小分けになったセットを購入し、未開封のものは冷凍庫で保管するとおいしさがキープしやすくなります。
4-4.手軽に水出しボトルを使うのも◎
おいしい新茶は飲みたいけれど、お湯の冷ますなどちょっと面倒、と言う方には、より手軽な水出し緑茶がおすすめです。
水出し緑茶は専用ボトルに茶葉と水を入れて冷蔵庫に入れて置くだけなので、とても簡単です。
水出し緑茶の入れ方を紹介していきます。
4-4-1.しっかりと沸騰させたお湯を冷ます
水出しにする場合も、カルキ臭を抜くためにまずは4~5分水を沸騰させます。
その後、常温になるまで冷ましたものを使いましょう。
4-4-2.水出しボトルに茶葉を入れる
水出し緑茶用のボトルに、新茶の茶葉を入れます。
お茶の葉の量は1リットルあたり10~20グラムです。
4-4-3.水をボトルに入れて冷蔵庫で3時間以上置く
沸騰して冷ました水をボトルに注ぎ、冷蔵庫で3時間以上置けばおいしい水出し緑茶の出来上がりです。
前日の夜に作っておけば、手軽においしい水出し緑茶が楽しめます。
水出し緑茶は専用ボトルがおすすめ! 水出し緑茶を作る時、茶葉をお茶パックに入れて普通のボトルを使うことも可能です。しかし、お茶パックに茶葉を入れるとお茶の葉が充分広がらず、お茶の味が出にくくなってしまうことがあります。その点、フィルターが付いた水出し緑茶専用ボトルなら、お茶パックを使わずにお茶の葉をそのままボトルに入れられるので、お茶の味わいをしっかり引き出せます。よりおいしい水出し緑茶を淹れるなら、専用ボトルがおすすめです。 |
5.八十八夜をおうちで楽しむ4つの方法
八十八夜は初夏の農作業を始める目安となる日ですが、農業に関わっていない方の場合、あまり意識することがない日になってしまっています。
季節の変わり目を感じ、四季をより楽しむため、八十八夜を現代の生活に取り入れてみるのはいかがでしょうか?
八十八夜を気軽に自宅で楽しめる方法を紹介します。
5-1.家のインテリアを夏仕様にしよう
八十八夜は、田植えや茶摘みなど、初夏の農作業をスタートさせるための準備の目安となる日です。
それにちなんで、自宅のインテリアを夏仕様に変えてみることをおすすめします。
例えば
・毛足の長いラグを、イグサなど夏らしいものに変える
・クッションやカーテンを夏らしい色のものに買える
・部屋に飾る小物を貝殻やガラスなど涼しげなものに変える
など、少しだけでも夏を感じさせるインテリアにすることで、これから迎える夏を楽しむ気持ちが湧いてきます。
5-2.夏前の大掃除で家の中をスッキリ
夏を快適に過ごすための準備として、大掃除をするのもおすすめです。
掃除をすることは、運気を上げることにつながると言われています。
八十八夜は末広がりで、これから開運していく縁起の良い日ですから、これからの1年をよりよいものにするために、八十八夜に大掃除すると運気が上がるかもしれません。
また、夏前にこの時期に大掃除をすることで、梅雨のカビを予防することにもつながります。
カーテンなどを洗ってもすぐ乾きますし、過ごしやすい時期なので窓を開けていても快適です。
年末の大掃除の負担も減りますから、ぜひ八十八夜を機会に夏前の大掃除をしてみましょう。
5-2-1.八十八夜の大掃除におすすめの場所
夏前の大掃除におすすめの場所は
・浴室
・カーテンの丸洗い
・エアコンのフィルター掃除
・網戸や窓
などです。
浴室は、バスタブだけでなく壁や天井も掃除しておくと、梅雨時期のカビ防止につながります。
カーテンは洗濯機で洗った後、濡れたままカーテンレールに吊るしておけばこの時期ならすぐに乾くのでおすすめです。
エアコンは夏のピーク時の前に掃除しておくと、冷房効率がよくなります。
網戸や窓は開けることが多くなる夏前に掃除しておくと、快適に過ごせます
5-3.おいしいお茶でリラックスしよう
八十八夜はお茶と関係の深い日ですから、おいしい緑茶を飲んでリラックスするのも素敵な過ごし方です。
その年の新茶を収穫する時期は産地によっても異なり、八十八夜にはすでに販売されている新茶もあります。おいしい新茶を飲みながら、1年間の健康を祈りましょう。
5-4.新茶を家族や知人にプレゼントしよう
八十八夜の新茶は縁起が良く、神様や目上の方に贈られてきた風習があります。
それにちなんで、新茶を大切な家族や知人にプレゼントするのもおすすめです。
新茶はおいしいだけでなく、飲むことで寿命が七十五日伸びると言われてきたほど縁起が良いものです。
そんな縁起にちなみ、相手の健康や長寿を祈る気持ちを込めて、八十八夜のお茶を贈れば、きっと喜んでもらえます。
6.まとめ
八十八夜についてご紹介しました。
八十八夜は、日本で昔から使われてきた暦のひとつで、農作業の目安となる日です。
農業をしていない人にとってはあまり縁のない日になってしまいましたが、夏の訪れを感じる日として、普段の生活に取り入れてみるのもおすすめです。
最後に八十八夜についてまとめておきます。
◎八十八夜は季節を表す暦のひとつ
八十八夜は、雑節といって、農作業などの目安となる日を表している暦のなかのひとつです。
雑節には他に、土用や節分などがあります。
◎八十八夜は立春から八十八日後
八十八夜は二十四節気の立春から八十八日後とされています。
2022年以降の八十八夜は次の表のようになっています。
2022年 | 5月2日 |
2023年 | 5月2日 |
2024年 | 5月1日 |
2025年 | 5月1日 |
2026年 | 5月2日 |
◎八十八夜は末広がりで縁起が良い
八十八夜は、末広がりの八が重なることや、米という漢字になることから、昔から縁起がよい日とされてきました。
◎八十八夜は夏の農作業の準備をする日
八十八夜は、霜が降りる最後の日と言われています。
そのため、八十八夜から田植えや茶摘みなど夏の農作業の準備がスタートするのです。
◎八十八夜は茶摘みの時期
霜が降りなくなり、お茶の新芽が育ってきた八十八夜ごろは、新茶を摘み始める茶摘みの時期でもあります。
茶摘みをしながら歌う「茶摘み歌」をもとに、文部省唱歌の「茶摘み」の歌が作られました。
◎八十八夜のお茶は縁起がいい
八十八夜のころに収穫するお茶は、一年で最初に摂れる「初物」です。
日本では昔から、旬のもの、初物を食べると縁起が良いとされ、「初物七十五日」といって寿命が七十五日伸びると言われてきました。
八十八夜のお茶も同じように、縁起が良く、飲むと一年健康でいられるといわれてきたのです。
◎八十八夜のお茶はおいしい
八十八夜のお茶は、一番茶と言って、一年で三回ある収穫期の最初の1回目にあたります。
お茶の種類 | 収穫時期 |
一番茶 | 4月中旬から5月中旬 |
二番茶 | 一番茶収穫終了から2カ月後6月中旬から7月中旬 |
三番茶 | 二番茶収穫終了から2~3週間後7月中旬から8月下旬 |
一番茶はテアニンといううま味成分が多く、苦み成分であるカテキンが少ないため、うま味と甘みがあるおいしいお茶になるのです。
◎八十八夜のお茶をおいしく飲むポイントは
①沸騰させたお湯を使う
②お湯を湯のみに入れて80度くらいまで冷ます
③急須に茶葉を一人分約3グラム淹れる
④湯のみに入れたお湯を入れて、急須をゆっくり回す
⑤急須のお茶を最後まで注ぎ切る
おいしい新茶を手軽に飲みたい場合は、水出し緑茶にしてもよいでしょう。
おいしい新茶の保存方法は、密閉して冷暗所におくことです。
また時間がたつと風味が落ちてしまうため、小分けにしたものを購入して早めに飲み切るのも大切です。
◎八十八夜をおうちで楽しむには
・家のインテリアを夏仕様にする
・夏前の大掃除をする
・美味しいお茶でリラックスする
・新茶を家族や知人にプレゼントする
などがおすすめです。
おいしい新茶を飲むなど、八十八夜を生活に取り入れて、季節感を感じる暮らしをたのしんでみてください。