こだわり

荒畑園のこだわり

東に日本一の富士の山を望み、「越すに越されぬ大井川」を見下ろす、静岡県のど真ん中、牧之原台地。

私たち荒畑園はここでお茶づくりに励んでいます。

牧之原台地は日照時間が長く、昼夜の温度差もあり、また朝夕には霧が発生するなど、お茶づくりには理想的な地理条件を備えています。

 

肉厚な葉を生かす深蒸し製法

牧之原台地には、日光をさえぎる山々がありません。そのため、茶畑には日光がさんさんと降り注ぎ、茶葉は肉厚で大きく育ちます。

牧之原台地で育った茶葉は、日照時間(光合成をする時間)が長いため、お茶の栄養素であるカテキン、クロロフィルがたっぷり含まれています。その健康で肉厚な茶葉の旨味・栄養を余すことなく取り出すため、荒畑園では普通煎茶の3~4倍長く茶葉を蒸す「深蒸し製法」でお茶をつくっています。

肉厚で大きな緑の葉は、長く蒸すことにより組織が分解され、タンニン(苦渋味)含量が減り、アミノ酸のテアニン(甘み)が増します。

長く蒸す分、茶葉は細かくなりますが、普通煎茶に比べ、コクと旨味がたっぷり詰まったお茶になります。

 

土へのこだわり

お茶は、永年作物(えいねんさくもつ)のため、何十年と育てていきます。荒畑園では「力のある茶樹から摘み取った肉厚で緑の濃い茶葉からこそ、旨いお茶ができる」と考え、土づくりからお茶の栽培に取り組んでいます。

 

茶草場農法の実践 ~茶草場農法とは~

茶草場農法は、茶畑の周りに広がる採草地でススキなどの草を刈り取り、茶畑の有機肥料として活用する昔ながらの農法です。1年に1度、秋から冬にかけて行われ、冬の間に茶樹が栄養を蓄えられるようにしています。

茶草場で草を刈り取った後、細かく粉砕し、畑に敷いていきます。草を畑に敷くことで、土の温度(地熱)を保ち、土壌の流出の防止、雑草の繁茂の抑制にもなります。

また、ススキなどの山草には「ケイ酸」とよばれる養分が豊富で、天然の肥料として役立つだけでなく、微生物の繁殖を助けることにも繋がります。土中の微生物が活発に動くことで土が柔らかくなり、茶樹の根っこがのびのびと成長できます。根っこが広範囲に根を張れるようになると、栄養をたくさん吸収できるようになり、力強い茶樹が育ちます。

荒畑園では、「おいしいお茶ができるように」と昔から手間のかかる農法を続けてきました。

茶草場農法は、2013年5月に世界農業遺産(GIAHS)国際会議において、牧之原市・掛川市・菊川市・島田市・川根本町の4市1町の地域で取り組んでいる茶草場農法が「静岡の茶草場農法」として世界農業遺産に登録されました。荒畑園は、牧之原市より茶草場農法実践者の第1号として認定をいただきました。

 

栄養たっぷり自家製「もみがら堆肥」

森では、肥料をやらなくても植物は生い茂っています。その理由は、落ち葉や枯れた木が、空気と水と微生物の働きによって分解され腐食して肥料となるからです。この土壌分解サイクルをもみがら堆肥が可能にしてくれます。

もみがら堆肥は、栄養価の高いもみがら、米ぬか、菜種粕に土壌有効微生物菌(VS34)を植え、発酵させて作った荒畑園自家製の堆肥です。

微生物が多いもみがら堆肥を土壌に施すことで、栄養たっぷりの土壌になります。

まず、9月初旬から1カ月かけて、もみがらを集めます。集め終わったら、土台となるもみがらを堆肥舎に敷き詰めます。その上に、米ぬか・菜種粕・土壌有効微生物菌を一段づつ重ねていきます。

仕込み後、2週間に1度、撹拌し新しい空気を含ませ微生物を活発にさせます。発酵が進んだもみがら堆肥の温度は60度近くにもなります。発酵の熱で、蒸気がもくもくと立ち上がります。温度を60度まで上昇させると、有害菌の殺菌効果になります。

2ヶ月後、もみがら堆肥が完成します。

もみがら堆肥には、うまみ成分のアミノ酸が生成され、その一種グルタミン酸(味の素)がたっぷり含まれています。

完成したもみがら堆肥をすべての畑に施します。茶畑に施すことで、保温力・保湿力が高まり、土中に微生物が増殖し、生命力がみなぎる土壌になります。要する日数は約1カ月です。

もみがら堆肥を施した土壌は、草取りやクワ入れなどの耕作に、通常よりも何倍もの時間がかかります。

手間はかかりますが、愛情を込めて育ててきた成果として、元気の良い、栄養分をたっぷり含んだ新芽が育ちます。

荒畑園では、手間暇を惜しまず、健康成分たっぷりのおいしいお茶ができるように土づくりからお茶の栽培に取り組んでいます。

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